【元消防職員・防災士が解説】防災×マイナ救急|“救急の質が上がる”新時代の災害対応ツール

救急現場では「情報の有無」が生死を分ける。
持病・アレルギー・服薬中の薬…これらが分からないまま到着すると、救命処置が遅れたり、誤った判断につながることもある。

そこで注目されているのが、マイナンバーを活用した救急情報連携システム=通称『マイナ救急』だ。

災害時・救急時に、患者の大切な医療情報を瞬時に共有できる仕組みとして、今後さらに普及が進むとみられている。

■① マイナ救急とは?

「マイナ救急」とは、マイナンバーカードを使って
● 救急隊 → 医療機関
● 医療機関 → 救急隊
の間で医療情報を素早く共有するための仕組み。

例えば、次のような情報が瞬時にわかる。

・持病
・服薬中の薬
・アレルギー情報
・過去の手術歴
・かかりつけ医
・緊急連絡先(登録があれば)

救急現場では“1分の遅れ=命の危険”につながるため、この情報共有は非常に大きな武器となる。

■② マイナ救急が防災で重要な理由

災害時は、救急需要が一気に増える。

・地震
・豪雨
・火災
・津波
・土砂災害

避難所や現場で倒れた人をすぐ救護するには、患者情報がその場でわかることが極めて重要。

特に以下のケースで、マイナ救急の効果は絶大。

・糖尿病でインスリン使用の人
・心臓病・てんかん発作・喘息持ち
・ワーファリンなど服薬中で止血が難しい人
・食物アレルギーが重度の子ども
・認知症高齢者(本人が説明できない)

避難所では、医療スタッフが不足しがち。
そのため、必要な医療情報にすぐアクセスできる=命のリスクを減らすことにつながる。

■③ マイナ救急を使うメリット

救急側・病院側・本人家族。
全員にメリットがある仕組みだ。

● 救急隊のメリット

・必要な情報を即把握
・投薬ミスを防げる
・持病にあった処置ができる
・搬送先病院の選定が正確になる

● 医療機関のメリット

・受け入れ判断が早くなる
・治療の開始が早まる
・重症化リスクを下げられる

● 患者・家族のメリット

・説明できなくても正しい治療が受けられる
・子どもや高齢者でも安心
・災害時に医療体制が混乱しても命のリスクが減る

■④ マイナ救急を使うために必要なこと

マイナ救急を確実に活用するために、次の準備をしておくと安心。

・マイナンバーカードの取得
・健康保険証との紐づけ
・医療情報提供の同意設定
・お薬手帳アプリとの連携
・緊急連絡先の登録(任意)

これだけで、災害・救急のリスクを大幅に軽減できる。

■⑤ マイナ救急が普及すると、防災レベルが上がる理由

マイナ救急は、単なる医療DXではなく
「災害に強い社会の基盤」となる技術。

・大規模災害でのトリアージが正確になる
・避難所医療の質が上がる
・救急搬送の効率化
・医療崩壊の防止
・薬の重複投与や禁忌薬を防ぐ

東日本大震災・熊本地震・能登半島地震でも、
「患者情報が分からない」問題が救命を遅らせる要因だった。

マイナ救急が普及すれば、この課題が大きく改善される。

■⑥ 消防・救急の現場でも期待が高い

元消防職員として、現場目線で言えることはただ一つ。

“患者情報がその場ですぐ分かる”は、本当にありがたい。

救急車内で最も時間を使うのは、
患者家族がパニックで説明できない場面。

その悩みが解消されれば、
救命率は間違いなく上がる。

■⑦ まとめ

マイナ救急は、防災・救急の未来を変える重要な仕組み。

・持病・薬・アレルギーをその場で確認
・処置の正確性が上がる
・搬送先決定がスムーズ
・災害時にも医療の質を維持
・高齢者や子どもの安全性向上

防災は「物の備え」だけでなく「情報の備え」も必須。

マイナンバーカードの活用は
家族全員の命を守る“新しい防災”になる。

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