近年、国際的に大きな課題となっているのが
PFAS(ピーファス:有機フッ素化合物)による環境汚染。
泡消火薬剤などにも含まれてきた物質だが、
健康への影響が指摘され、多くの国で規制が強化されている。
そんな中で急速に注目されているのが、
PFASを使わない“環境配慮型の消火設備”。
元消防職員・防災士の視点で、わかりやすく解説する。
■① PFASとは?
● 分解されにくい
● 土壌・地下水に残留
● 人体への蓄積が懸念
という特徴を持ち、欧州・米国では大規模な規制が進む“永遠の化学物質”。
特に泡消火薬剤(AFFF)に含まれてきたため、
防災の分野でも代替技術が急務となっている。
■② PFASを使わない消火設備の種類
PFAS不使用でも、高い消火性能を持つ設備がすでに導入され始めている。
① 水系消火設備(ウォーターミスト)
超微細なミストを噴霧し、
✔ 酸素遮断
✔ 冷却
✔ 空間全体の温度低減
で火勢を抑える。
● 飛行機
● サーバールーム
● 医療施設
● 文化財
など、幅広く対応可能。
② 二酸化炭素(CO₂)消火設備
酸素濃度を下げて急速に消火。
PFASは一切不要。
ただし、
● 人がいる空間には不向き
● 誤作動時は窒息の恐れ
という注意点もある。
③ 不活性ガス消火設備(N₂・Ar・混合ガス)
窒素やアルゴンを使い、酸素濃度を安全域ギリギリまで下げて消火。
機器や資料に優しく、文化財・データセンターで普及が加速。
特徴:
✔ 残渣ゼロ
✔ PFASゼロ
✔ 水損なし
④ 加圧泡(PFASフリー泡消火薬剤)
最近は
PFASを完全に含まない泡消火薬剤
がメーカー各社から開発されている。
● 住宅用
● 工場
● 車両火災
● 石油関連施設
に対応する“脱PFAS”製品が増加中。
⑤ 乾式粉末消火設備(粉末消火)
粉末を噴射して化学反応を止める方式。
PFASではなく、炭酸カルシウムやリン酸アンモニウム系を使用。
デメリット:
● 粉が広範囲に広がり後処理が大変
● 精密機器には不向き
■③ なぜPFASフリーが急速に求められているのか?
◎理由① 地下水汚染の問題
訓練場や空港での使用が原因となり、
地下水の汚染が世界的課題に。
◎理由② 消防職員の健康問題
PFAS汚染地域では、住民や消防職員の血中濃度が高いという報告もあり、社会問題化。
◎理由③ 国際規制が加速
● 欧州:使用禁止方向
● 米国:軍・空港でAFFF廃止へ
● 日本:PFOS・PFOA規制強化中
今後、消防・産業の現場では
PFASを使わない設備への入れ替えが必須になる。
■④ 防災の現場で求められる“次のスタンダード”
PFASを使わない消火設備を導入することで、
● 人への安全性
● 環境への配慮
● 地域住民の安心
● 国際基準に沿った対応
が実現できる。
特に自治体や工場では、
PFASフリー設備への移行計画を早めに立てることが重要。
■⑤ まとめ|PFASフリー消火設備は「次世代の防災標準」
PFAS問題は、
防災・環境・健康が交わる“これから避けて通れない課題”。
PFASを使わない消火設備は、
● 水ミスト
● 不活性ガス
● CO₂
● PFASフリー泡
● 粉末
と選択肢が広がり、性能も大きく向上している。
時代はもう、PFASに依存しない消火へシフトしている。
家庭・自治体・企業が「環境と命を守る選択」を進めていくことが、
これからの防災に求められる姿だ。

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