火災現場で近年注目されているのが CAFS（Compressed Air Foam System：圧縮空気泡消火システム）。
従来の水消火より圧倒的に効率がよく、延焼防止にも強い最新技術だ。
元消防職員・防災士として、
CAFSの特徴・メリット・防災への応用を分かりやすく解説する。
■① CAFSとは？
CAFSは、水・消火薬剤・空気を混ぜて“強力な泡”を作り、火を断熱・窒息・冷却の3方向から一気に消す装置。
通常の水より「泡が燃焼面にまとわりつく」ため、火の勢いを一気に抑えることができる。
✔ まとめると
水より速い・水より少ない・水より安全
これがCAFSの最大の特徴。
■② CAFSのメリット（消防の現場でも高評価）
災害現場の実感として、CAFSは次の点で非常に優秀。
◎① 使用水量が圧倒的に少ない
● 水の1/4〜1/10で鎮火可能
● 水害の二次被害を抑えられる
（家財びしょ濡れ・床下浸水の拡大などが防げる）
◎② 泡が付着するので延焼しにくい
泡が壁・天井に“貼りつく”ため、再燃防止にも強い。
◎③ 冷却・窒息・遮断の3効果が強い
● 火に酸素を与えない
● 表面を冷やす
● 熱の伝わりを遮断
→ 火の勢いが一気に弱まる。
◎④ 高温の煙に対しても有効
泡が煙を抑えるため、救助活動がしやすくなる。
消防の現場でも「初期制圧の決定打」として導入が進んでいる。
■③ 一般家庭でも使えるCAFSがある
最近は、消防用だけでなく、
家庭向け・店舗向けの小型CAFSも登場している。
◎ ガレージ
◎ 飲食店厨房
◎ キャンプ・アウトドア
◎ 工場・倉庫
など、火災リスクが高い場所に向いている。
特に厨房火災（油火災）に強い点がメリット。
■④ CAFSは“天ぷら油火災”に極めて強い
一般家庭で最も危険な火災は 天ぷら油の発火。
水をかけると火柱が爆発的に上がるため、
通常の水消火は絶対にNG。
一方、CAFSの泡は…
● 油の上に膜を作って酸素を遮断
● 飛散せず安全
● 再燃防止にも強い
家庭の油火災対策としては非常に心強い。
■⑤ “水害を起こさない消火”はこれからの防災の主流
住宅火災でも、消火後に大量の水が撒かれることで
● 家具・家電が水没
● 床下浸水が悪化
● 修繕費が高騰
という二次被害が多い。
CAFSは水量が少ないため、
消火後の生活再建が圧倒的に楽という、
住民目線でも大きなメリットがある。
■⑥ 地域防災でも導入が進む理由
消防団・自治体でもCAFS導入が進む背景は以下。
● 高齢化した消防団でも扱いやすい
● 延焼防止が早く効く
● 水利（消火栓）が少ない地域で強い
● 山林火災・草火災にも効果的
特に山間部や住宅密集地では、
“少ない水で早く抑えられる”メリットが絶大。
■⑦ CAFSの弱点
万能ではない点も知っておく必要がある。
● 機器の製造コストが高い
● メンテナンスが必要
● 大規模火災では通常放水が必要な場合も
ただし、初期消火〜延焼防止は最強クラス。
■まとめ｜CAFSは“これからの消火のスタンダード”
防災面で見たCAFSのメリットは次の通り。
● 少ない水で火力を一気に落とす
● 再燃防止に強い
● 油火災に非常に有効
● 家庭にも使いやすい小型版がある
● 消火後の水害が少ない
● 高齢者にも扱いやすく、地域防災に向いている
“水に頼らない消火”は、これからの防災の重要な進化。
家庭でも、地域でも、
CAFSの特徴を知ることは、命と財産を守る準備の一つになる。
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