【防災士が解説】防災×ソウル|大都市災害の“現実”は日本の都市にもそのまま当てはまる

韓国・ソウルは人口1,000万人を超える巨大都市。
防災の観点では「東京・大阪・福岡」と構造が似ており、
ソウルで起きる災害は、そのまま日本の都市の未来でもある。

元消防職員・防災士として、
“ソウルの災害=日本の教訓になる理由”を解説する。


■① ソウルの都市型豪雨は日本の未来そのもの

2022年、ソウルの江南エリアが冠水した。
原因は:

● 1時間に100mmを超える豪雨
● 地下街・地下鉄の浸水
● 急速な都市化で排水能力が追いつかない

これらは、東京・大阪・福岡でもすでに起きている課題。

日本の都市も同じ構造のため、
「ソウルで起きた豪雨被害は、日本でも確実に起こりうる」。


■② 地下鉄の浸水は“都市の弱点”そのもの

ソウルは地下鉄利用者が非常に多く、
地下空間の浸水は都市機能を一気に止めてしまう。

✔ 地下街
✔ 地下鉄
✔ 地下駐車場
✔ 地下電気設備

これらが水没すると、電力喪失や火災リスクが急上昇。

日本の都市も地下構造が多いため、
「ソウルの浸水=日本の事前警告」と見てよい。


■③ PM2.5・黄砂はソウル→福岡へ最短24時間

春先になると、
ソウルのPM2.5濃度が急上昇する日がある。

この大気汚染は、
偏西風に乗って最短1日で九州へ到達

福岡・佐賀・長崎では
ソウルの大気状況が“そのまま翌日の日本の空気”になる。

呼吸器疾患のある人、高齢者は要注意。


■④ ソウルの地震リスクは油断できない

韓国は地震が少ないと言われていたが、
2016〜2017年にM5級の地震が連続発生。

耐震化率は日本より低く、
大都市が揺れれば被害は非常に大きくなる。

✔ 大都市ほど建物密度が高く倒壊リスク増
✔ 火災が連鎖しやすい
✔ 狭い道路や地下街が避難の妨げに

これはそのまま東京・大阪・名古屋の弱点にも一致する。


■⑤ ソウルの大停電は日本の都市でも起こり得る

ソウルでは過去に大規模停電が発生し、
交通・通信・医療が瞬時にマヒした。

停電時に弱いもの:

● エレベーター
● 電子決済
● 地下鉄の照明・空調
● 携帯電話の基地局

都市ほど停電の影響が致命的になる。

日本の都市も同様であり、
ソウルの停電事例は完璧な“反面教師”と言える。


■⑥ ソウルの雑踏事故は都市災害の教訓

2022年のイテウォン雑踏事故では154名が死亡。

都市での群衆管理の難しさ、
狭い通路・傾斜・密集の危険性が明らかになった。

これは日本の祭り・ライブ・イベントでも
十分に起こり得る災害である。

✔ 狭い場所には立ち止まらない
✔ 一方向に流れる群衆は逆走しない
✔ 子どもとは必ず手をつなぐ

群衆災害は“防災の基本”として理解すべき。


■⑦ 防災士としての結論|ソウルは「日本の都市の未来予測」

ソウルで起きた災害は、
地形・気流・都市構造が似ているため、
日本にそのまま当てはまる。

ソウルの災害から学べること:

● 都市型豪雨の脅威
● 地下空間のリスク
● PM2.5・黄砂の早期警戒
● 火災連鎖の危険性
● 雑踏事故のリスク
● 停電で都市機能が崩壊する弱点

“遠い国の話”ではなく、
完全に日本の都市防災そのものである。


■まとめ

ソウルは、日本にとって
「もっとも参考になる防災モデル都市」。

その理由は、

✔ 地理的に近い
✔ 気象や大気の影響が直接来る
✔ 都市構造が近い
✔ 災害の規模や傾向も似ている

韓国の災害を知ることは、
日本の未来を守るための大きなヒントになる。

元消防職員・防災士として、
都市防災の視点からこれからも発信していきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました