カナダは世界屈指の「寒冷地」であり、冬の災害リスクが日本とは比べものにならないレベルです。
極寒・大雪・暴風雪・凍結・氷点下の停電…こうした環境で生き抜くための知恵は、日本の寒冷地域や大寒波対策にもそのまま応用できます。
現場を経験した【元消防職員・防災士】が、カナダの防災から学べるポイントを整理します。
■カナダは“寒さによる災害”の最先端
カナダで毎年起きる冬のリスクは次の通り。
- 氷点下20℃~40℃の極寒
- 大規模な停電(氷や雪で送電網が損傷)
- ブリザード(視界ゼロの吹雪)
- 車両の立ち往生・多数の事故
- 家屋の凍結破損(水道が破裂)
- 暖房の燃料不足
災害の種類は少ないようでいて、実際は“寒さが招く複合災害”です。
■カナダから学ぶ防災①:冬の停電は命に関わる
特に重要なのは「停電=生命危機」という認識。
カナダでは電気が止まると、
- 暖房が使えない
- 給水設備が凍結
- 食料が冷蔵庫から出せない
- 車も雪で動かせない
こうした理由から「停電備蓄」が徹底されています。
日本も北海道・東北・九州の寒波で同じことが起きる可能性が高く、カナダ式の“停電前提の備え”はとても参考になります。
■カナダから学ぶ防災②:必須レベルの防寒具
カナダの家庭にほぼ必ずあるもの。
- 厚手の寝袋(耐寒−20℃対応)
- 断熱ブーツ(スノーブーツ)
- ウールの靴下・帽子・手袋
- 携帯カイロ
- 防寒シート(車に常備)
「家の中で外着レベルの防寒具」を準備しているのが特徴。
災害時の暖房停止を前提にした装備は、日本でも大寒波で確実に役立ちます。
■カナダから学ぶ防災③:車内で生き延びる前提の備蓄
カナダでは冬の車中閉じ込めが多いため、車の備蓄が充実しています。
- 水・チョコバー・ナッツ
- ブランケット
- スコップ
- 牽引ロープ
- 携帯トイレ
- モバイルバッテリー
- 手回しライト
特に「ブランケット」は命を守る最優先アイテム。
日本も豪雪地帯では同じ状況が起きるため、車載防災セットはカナダ基準が最強です。
■カナダから学ぶ防災④:水道凍結を前提とした対策
カナダでは水道管凍結・破裂は日常レベル。
そのため家庭では、
- 蛇口を少しだけ開けて水を流す(凍結防止)
- 家屋の断熱工事を徹底
- 給湯器や配管をヒーターで保温
- 10〜20Lの水を常備
- バスタブに水を張る習慣
これは日本の寒冷地や冬の災害でも非常に重要。
“水道は止まるもの”
この前提を持っているのがカナダの強さです。
■カナダから学ぶ防災⑤:暖房の多重化
暖房が1種類しかない家は少なく、基本は二重・三重。
- 電気(ヒーター)
- ガス・プロパン
- 薪ストーブ
特に薪ストーブは「停電しても使える熱源」として評価されています。
日本も大寒波のとき“替えの暖房”が命を救うので、家族構成に応じて複数熱源を検討する価値があります。
■まとめ:カナダは“冬の防災”の先生
日本が寒波で混乱したとき、カナダの防災文化は大きなヒントになります。
- 停電は命に直結する
- 車内閉じ込めは冬の定番
- 水道凍結は当たり前
- 防寒具は命の備蓄
- 暖房は複数の手段が必要
冬の防災を学ぶなら、カナダは最強の教材です。
寒波の多い日本にとって、カナダ式の備えは“命を守る確率を大きく上げる方法”になります。

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