メキシコは日本と同じ「地震大国」。
2017年のメキシコ中部地震(M7.1)や1985年メキシコ地震(M8.0)など、大都市を直撃する巨大地震をたびたび経験しています。
【元消防職員・防災士】として防災現場を経験してきた視点で、
“日本が学ぶべきメキシコの防災文化”をわかりやすく解説します。
■メキシコは“地震に強い都市文化”を持つ国
メキシコはプレート境界に位置するため、大きな地震が多発します。
特にメキシコシティは地盤が軟弱で揺れが増幅しやすく、
国全体で「地震と共存する防災文化」が発達しています。
日本と構造が似ており、非常に参考になる国です。
■メキシコから学ぶ防災①:全国一斉シェイクアウト訓練
メキシコでは毎年9月19日に
全国一斉の大規模地震避難訓練「シェイクアウト」を実施。
訓練内容はシンプルで、
- Drop(伏せる)
- Cover(頭を守る)
- Hold on(揺れが収まるまで待つ)
日本でもそのまま応用できる「最も実戦的な避難方法」です。
■メキシコから学ぶ防災②:サイレンによる地震警報システム
メキシコは、
街中に“地震警報サイレン”が設置されている世界でも珍しい国。
サイレンが鳴った瞬間、
- “数十秒以内に強い揺れが来る”
- 市民全員が即行動に移る
という文化が浸透しています。
日本はスマホの緊急地震速報が中心ですが、
「屋外も一斉に気づける」点でサイレンは非常に優秀です。
■メキシコから学ぶ防災③:揺れている間は“横移動”
メキシコでは、
階段へ走らず、まず近くの安全地帯へ横移動する
という習慣が徹底されています。
- 廊下へ出る
- 机の下に入る
- 揺れが止まってから外へ
これは日本でも必須の避難行動。
地震は“揺れている間が最も危険”だからです。
■メキシコから学ぶ防災④:市民ボランティア力が極めて強い
1985年地震以降、メキシコでは市民による災害支援が文化として根付きました。
- 瓦礫撤去
- 負傷者の搬送
- 食材・物資の自発的供給
- SNSでの情報共有
「自分の無事を確保したら周囲を助ける」
という精神は、日本の自主防災組織にも活かせます。
■メキシコから学ぶ防災⑤:建物を“色分け”する安全評価
メキシコシティでは建物の耐震性を
- 緑:安全
- 黄:注意
- 赤:危険
という形で一目で分かるよう表示しています。
住民が避難判断しやすく、
日本でも導入すれば高齢者や子どもにも分かりやすい施策になります。
■まとめ:メキシコは“地震文化が成熟した国”
メキシコの防災は、日本と共通点が多い一方で、
日本より優れた点も多く存在します。
- 全国一斉の訓練
- サイレン警報による即行動
- 横移動の避難文化
- 市民ボランティアの強さ
- 建物安全度の色分け
“地震国同士”だからこそ学び合える防災知識があります。
海外の防災文化を取り入れることで、日本の備えもさらに強くなります。

コメント