【防災士が解説】防災×香港マンション火災|“超高層住宅の火災”は日本の家庭にも重要な教訓をくれる

香港は世界でも有数の“超高層マンション都市”。
そのため一度火災が起きると、被害が大きくなりやすい。
近年も高層階からの炎上・煙充満・避難困難といった深刻な事故が起きている。

ここでは、香港マンション火災から学べる“日本の家庭で実践できる防災ポイント”を解説する。


■① “煙の怖さ”を徹底的に知っている国

香港の高層火災では、煙が階段・廊下・エレベーターに一気に広がる。

● 数階上まで一瞬で広がる
● 黒煙で視界ゼロ
● 数呼吸で意識を失う危険

→ 日本でもマンション火災の死因のほとんどは“煙吸入”
煙の恐ろしさを理解することが最大の予防になる。


■② 逃げ遅れを防ぐ最強策=“自宅内避難(籠城)”の判断

香港では、高層火災時に「降りないで部屋にとどまる」判断が行われる。

● 無理に階段を降りると煙で倒れる
● 廊下が煙だと一瞬で危険
● 自宅は一番安全な“区画”

→ 日本の消防も、廊下が煙なら自宅内待機が原則と指導している。


■③ ドアの下から煙が入る“最初の3分”が勝負

香港火災の映像でよく見るのが、
住民がドアの隙間に濡れタオル等を詰めて煙を防ぐ行動。

● ドア下
● ドア横の隙間
● 配電盤・排気口

→ 日本でも隙間を塞ぐだけで生存確率が大きく上がる


■④ “避難階段に戻れない”問題は高層火災の共通課題

香港の火災では、階段が煙で封鎖されるケースが多い。

● 途中階が煙で閉塞
● 上にも下にも行けない
● エレベーターは停止

→ 日本の高層マンションも同様のリスクがあるため、
普段から非常階段の構造・位置・複数ルートを把握しておくことが重要。


■⑤ ベランダ避難が“高層では逆に危険”な場合も

香港の高層マンションはベランダがない構造も多いが、
日本ではベランダ避難が一般的。

しかし高層では、

● 風で炎が巻き込む
● 隣室の火が飛び火
● 下階からの上昇気流で煙の海

高層階はベランダ避難より室内避難が安全なケースが多い。


■⑥ 火災通報の遅れが被害を拡大させやすい

香港では建物が密集し、火災が一気に広がりやすい。

● 初期通報が遅れる
● 住民同士の確認が遅れる
● 誤情報で避難判断が乱れる

→ 日本でも、初期通報の10〜20秒が生死を分けるといわれる。


■⑦ “日頃の共用部確認”が火災時の生存率を決める

香港では、逃げる途中で次のような問題が多発。

● 共用物が廊下に置かれて進めない
● 防火扉が開けっぱなし
● 階段に荷物
● 消火器の場所がわからない

→ 日本でも“共用部の安全”は自分の命に直結する。


■まとめ|香港マンション火災は“高層住宅の本当の怖さ”を教えてくれる

香港の火災から学べる教訓は、非常に日本向きだ。

● 煙が最大の脅威
● 廊下が煙なら自宅待機
● すき間を塞ぐだけで助かる
● 高層ではベランダ避難が危険な場合も
● 共用部の管理が生存率を変える

マンションに住む人は、今日から“煙を避ける行動”と
“自宅内避難の判断基準”を家族で共有しておいてほしい。

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