【防災士が解説】防災×ソーラーパネル火災|“消防が近づけない”太陽光発電システムの重大リスク

家庭用ソーラーパネル(太陽光発電システム)は、
節電・災害に強いメリットがある一方で、
“火災時に消火が困難になる”という大きな弱点を持つ。

火災事故の原因の多くが
屋根裏の配線・パワーコンディショナ(パワコン)・接続箱で、
見えないところで発火し、発見が遅れるケースが多い。

ここでは、ソーラーパネル火災の危険性と
家庭で必ず知っておくべき防災ポイントを解説する。


■① ソーラーパネルは“停電しても発電し続ける”

最大の危険ポイントがこれ。

● ソーラーパネルは日光が当たる限り発電
● 火災時でも電気が流れ続ける
● 電気が止まらないため消防が水をかけられない
● 感電リスクが高く接近できない

→ 家庭防災の前提:
「太陽光は非常時に“切れない電源”」=火災時は危険。


■② 火災原因は“屋根裏の目に見えない部分”

太陽光発電の火災は、次の箇所で起きやすい。

● 屋根裏のDCケーブル
● 接続箱(コネクタの緩み)
● パワーコンディショナ
● ケーブルの損傷・劣化
● 施工不良(最も多い原因)

→ 発見が遅れ、
煙が出た時には屋根裏全体に延焼している ことが多い。


■③ コネクタの“わずかな緩み”で発火する

太陽光発電の配線はDC(直流)。
直流はアーク(火花)が伸び続けるため、
微小な緩みでも発火する。

● ケーブル接続不良
● 施工時の圧着ミス
● 経年劣化
● 振動での緩み

→ 家庭防災の鉄則:
施工業者の質と点検が命を守る。


■④ ソーラーパネル火災は“消火が極めて難しい”

火災時の問題点:

● 発電が止まらないため放水できない
● 屋根上で延焼が進む
● 屋根裏の火が見えにくい
● 天板が高温で近づけない
● 日中は感電リスクが非常に高い

消防署の見解でも、

「太陽光火災は消火困難な火災の一つ」

とされている。


■⑤ パワコン火災は“室内火災”として広がる

パワーコンディショナは
一般的に室内(洗面所・納戸・ガレージ)に設置される。

● 内部ショート
● ホコリ・湿気
● 熱暴走
● 劣化部品の発火

→ 家庭防災では
パワコン周囲の “換気と清掃” が最重要。


■⑥ 台風・地震での損傷は火災の前兆

● 屋根瓦のずれ
● 配線の破断
● コネクタの露出
● パネル固定金具の緩み

損傷した部分に湿気や塩分が入り
後日、発火するケースもある。

→ 家庭防災では
台風後・地震後の点検が必須。


■⑦ 定期点検を怠ると“火事のリスクが跳ね上がる”

ソーラーパネルは設置して終わりではなく、
定期点検がないと危険。

チェックすべき点:

● 屋根裏のケーブル状態
● 接続箱の焦げ跡
● パワコンの異音・異臭
● 発電量の急な低下
● 鳥の巣による断線
● パネル表面のひび割れ

→ 家庭防災では
最低1年に1回の点検 を推奨。


■まとめ|ソーラーパネル火災は“防げる火災”。施工・点検・知識が家を守る

ソーラーパネル火災から学べるポイントは次の通り。

● 太陽光は災害時も電気が止まらない
● 施工不良・配線緩みが最大の原因
● 屋根裏火災は発見が遅れやすい
● 感電リスクで消防が近づけない
● パワコンの熱暴走や室内火災も多い
● 台風・地震後の点検が重要
● 年1回のメンテナンスが最強の防災

太陽光発電は便利だが、
構造を知らずに使うと大きな火災リスクになる。
自宅に太陽光がある場合は、
「施工業者の質」×「定期点検」×「配線トラブルの予防」
この3つを徹底することが、家族を守る最強の防災になる。

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