スロッシング現象とは、
地震の揺れで 水が大きく揺れ、波のように暴れる現象 のこと。
コップの水が揺れる程度ではなく、
高層ビルの貯水槽・マンションの受水槽・プール・大型タンクなどで
“巨大な波”が発生し、飛び散り、破損を引き起こすことがある。
ここでは、スロッシングの危険性と
家庭防災の視点で知っておくべきポイントを解説する。
■① スロッシングは“揺れの周期”で水が暴れだす
スロッシング現象は、
長周期地震動やゆっくり大きな揺れで発生しやすい。
● 水面が左右に大きく揺れる
● 波が高くなり壁に衝突
● タンク上部から水が噴き出す
● 場合によっては破損
→ 家庭防災の前提:
“震度が弱くても”大きな水害が起こりうる。
■② 特に危険なのは“高層マンションの貯水槽”
高層住宅・タワマンの屋上や地下には
大きな水タンク(受水槽・高置水槽)がある。
● 長周期地震動で水が大波になる
● フタの破損
● 水が床にあふれ機械室が浸水
● ポンプ故障で断水へ
● エレベーター停止が長引く原因に
→ 高層階の住民は
「断水リスクが高い」 ことを理解する必要がある。
■③ 工場・倉庫の“液体タンク”はさらに危険
工場やプラントでは、
大量の液体タンクがスロッシングで大被害を受ける。
● 化学薬品がこぼれる
● 可燃性液体が漏れる
● タンクが破断する
● 倒壊・火災の引き金
→ 一般家庭には直接関係ないが、
周辺地域の二次災害として影響が出ることがある。
■④ プール・水槽も“津波のように”溢れる
学校や体育館のプールでは、
スロッシングによって大きな波が発生する。
● 水が一気に外へ流れ出す
● 付近の施設が浸水
● 周辺の地盤が水浸しに
● プールサイドの設備が破損
→ 体育施設の安全管理では非常に重要。
■⑤ スロッシング現象の前兆は“ほぼ無い”
水の動きは、揺れが始まってから一気に発生する。
● 事前に予兆は無い
● 揺れの周期が合うと突然大波になる
● 長く揺れる地震ほど危険
→ 対策は“揺れる前の準備”が全て。
■⑥ 一般家庭で起きるスロッシングの例
規模は小さいが、家庭でも次のような危険がある。
● 水槽(熱帯魚・金魚)があふれる
● 加湿器のタンクが揺れて転倒
● 花瓶・水差しが倒れる
● 洗濯機の水が飛ぶ
● トイレの水があふれる可能性
→ 家庭防災のために
“高い場所の水もの”を減らすことが重要。
■⑦ 長周期地震動との相性が最悪
スロッシングは、
“高層階 × 長周期地震動”で最も危険になる。
● 揺れ幅が大きい
● 揺れる時間が長い
● 水が共鳴して巨大な波に
● 貯水槽・タンクが破損しやすい
→ 日本の大都市(東京・名古屋・大阪・福岡)は特に注意。
■⑧ 家庭でできる“スロッシング対策”
規模を完全に防ぐことはできないが、
被害を減らす行動はできる。
● 高層マンションは断水を想定した備蓄
● ベランダ・室内に置く水槽は固定
● 大きな花瓶・水容器は低い位置へ
● トイレ周りに電化製品を置かない
● 非常用水を別に確保する
● ペット用水槽はフタと転倒防止を必ず
→ “水が暴れる”ことを想定すると防災力が大きく上がる。
■まとめ|スロッシング現象は“水が武器になる災害”。高層住宅ほど備えが重要
スロッシング現象から学べるポイントは以下。
● 揺れで水が大きく波打ち暴れる
● 高層マンションの貯水槽は特に危険
● 工場の液体タンクは大規模二次災害になる
● プールでも巨大波が発生する
● 家庭の水槽・花瓶でも溢れる
● 前兆がなく突然起こる
● 長周期地震動との組み合わせが最悪
● 断水備蓄と“水ものを低く置く”が最強対策
水は普段は生活を支える存在だが、
地震時には“暴れる凶器”にもなる。
その特性を知るだけで、
家族の安全と生活をより確実に守れる。

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