地震で建物が壊れる大きな原因のひとつが 共振現象 だ。
共振とは、
“建物が揺れる周期”と“地震の揺れの周期”が一致し、
揺れがどんどん増幅してしまう現象。
震度が高くなくても、
周期が合うだけで建物が大きく揺れてしまう。
ここでは、地震における共振の意味と、
家庭が知っておくべき防災ポイントを解説する。
■① 共振は“揺れが倍々に増幅する”危険な現象
地震の揺れが一定のリズムのとき、
建物自身の揺れの周期と合うと巨大化する。
● 小さな揺れでも大きく増幅
● 家具が飛ぶほどの振幅に
● 構造に強い負荷
● 高層建物で特に危険
→ 家庭防災の前提:
「震度が低い=安全」ではない。
■② 建物は“高さによって固有の揺れ周期を持つ”
建物には、“揺れやすいリズム”が必ずある。
● 一戸建て:短周期(0.1〜1秒)
● 中層マンション:中周期(1〜3秒)
● 高層マンション:長周期(3〜10秒以上)
→ 地震の周期と建物の周期が一致すると共振が発生する。
■③ 長周期地震動は共振を引き起こしやすい
共振が特に問題となるのが長周期地震動。
● 高層ビルの固有周期と一致
● 揺れが数倍に増幅
● 家具が大移動
● 建物の変形が大きくなる
→ “周期の合う揺れ”は高層建物にとって最大の脅威。
■④ 家具が“飛ぶ・転がる・跳ねる”のも共振の影響
共振すると揺れ幅が大きくなり、
家具が想像以上に暴れる。
● テレビが滑って飛ぶ
● 冷蔵庫が前に倒れる
● 食器棚が横に移動
● 本棚がぐるっと回る
→ 家庭防災では、
家具固定は共振対策そのもの。
■⑤ 過去の大地震でも“共振被害”が多数
日本や海外の大地震では、周期の一致で建物被害が拡大した。
● 1995年 阪神淡路大震災
● 2011年 東日本大震災
● 2024年 台湾地震
● 遠方の都市部の高層ビルが大揺れ
→ 共振は「距離が遠くても危険」を生む。
■⑥ 共振は“高さ × 地盤 × 地震”で決まる
建物の安全性は3つの条件で変わる。
● 建物の高さ
● 地盤の柔らかさ(軟弱地盤ほど周期が伸びる)
● 地震の揺れの周期(短・中・長周期)
→ 特に軟弱地盤の高層建物は共振のリスクが高い。
■⑦ 家庭でできる“共振対策”は意外とシンプル
建物そのものは動かせないが、
家庭内の被害を小さくする行動はできる。
● 家具固定(L字金具・突っ張り棒)
● 冷蔵庫は必ず固定
● テレビを滑り止め+固定ベルト
● 寝室に家具を置かない
● ガラスの飛散防止フィルム
● 高層階は備蓄を多めに
→ 揺れが増幅しても“家具が動かなければ”大きく安全が確保される。
■⑧ 高層マンションでは“避難は揺れが収まってから”
共振時は揺れが大きく、
廊下・階段での転倒や落下が危険。
● 揺れが止まるまで動かない
● エレベーターは絶対に使わない
● ゆっくり階段で避難
● 共振後は建物点検を優先
→ 共振時の“行動不能時間”を想定しておくことが大切。
■まとめ|共振は“地震の見えない本当の脅威”。家具固定と地盤理解が命を守る
共振から学べるポイントは以下。
● 地震の周期と建物の周期が合うと揺れが急増
● 高層マンションでは特に危険
● 家具の飛散・転倒は共振で起こりやすい
● 距離が離れていても周期が合えば揺れる
● 地盤が柔らかいほど共振リスクが高い
● 家庭では家具固定と備蓄が最重要
● 揺れている間は避難行動をしない
共振は“見えない地震の本質”。
理解して備えるだけで、
高層・中層・一戸建てすべての防災力が一気に高まる。

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