【防災士が解説】防災×地震津波|“日本で最も起こりやすい津波”から命を守るために知るべきこと

日本で発生する津波の大半は 地震が原因の津波(地震津波) だ。
特に「海溝型地震」は、海底が大きく隆起・沈降し、
一瞬で海全体を動かすため、巨大津波を引き起こす。

地震後の行動を1分でも誤ると命に関わるため、
しくみ・特徴・避難の鉄則を知っておくことが重要だ。

ここでは、地震津波の本質をわかりやすく解説する。


■① 地震津波は“海底の変動”で海全体が持ち上がる現象

地震津波の最大の特徴は、海面だけでなく 海の底から上まで全部が動く こと。

● プレートの跳ね上がりで海面が盛り上がる
● 数百km規模で水塊が動く
● 深海では気付けないが、沿岸で急激に高さが増す
● 時速700kmで伝わることもある

→ 見えてから逃げるのでは遅い。


■② 海溝型地震(南海トラフ・千島海溝・日本海溝)が最も危険

日本の津波の大半は 海溝型巨大地震 によって発生する。

例:
● 東日本大震災(2011)
● 明治三陸地震(1896)
● 南海トラフ地震(将来予測)

海底が大きく隆起・沈降するため、
想像を超える高さの津波が発生する。


■③ 津波は“第1波より第2波〜第3波が高い”ことが多い

地震津波は1回で終わらない。

● 第1波は比較的小さいことも
● 第2波以降が本番
● 数時間にわたり繰り返し襲来
● 引き波と押し波で破壊力が増加

→ 「1波目が低い=安全」の判断は危険。


■④ 震源が近い場合は“数分で到達”

地震津波の危険性は、その到達が非常に早いこと。

● 震源が近い沿岸は数分で到達
● 遠くても10〜30分
● 夜間は視認できず危険性が上がる

→ 揺れを感じた瞬間に “自分は津波の対象か?” を判断する必要がある。


■⑤ 最大の特徴は“押し寄せる破壊力”

地震津波の水は非常に重たく、
“水”というより 巨大な破壊物の壁 のように押し寄せる。

● 1mでも歩行不能
● 2mで車が流される
● 5mで家屋が全壊
● 10m超で街が消える

→ 地震津波は地震本体より危険な場合が多い。


■⑥ 地震の揺れが小さくても津波は起きる

大きな揺れがなかった=津波が来ない
これは完全な誤解だ。

● 海溝の深い場所での地震
● 長周期の揺れ
● 無感地震
● 海底地すべりの併発

→ 揺れの大小ではなく
“震源と地形”で津波の大きさが決まる。


■⑦ 津波警報と“津波観測データ”で状況が激変する

地震津波は、最初の警報後も状況が変わる。

● 実際の到達高さを観測し反映
● 予想値が急に上方修正される
● 夜間や雨天は情報が遅れて見えにくい
● 長時間にわたり海面変動が継続

→ 警報解除まで絶対に海に近づかない。


■⑧ 家庭でできる“地震津波対策の鉄則”

地震津波から身を守る行動は非常にシンプル。

● 揺れを感じたら海から離れる
● 迷ったら高台へ避難(水平より垂直避難優先)
● 津波避難ビルを必ず確認
● 車避難は渋滞により危険
● 夜間は特に早めに避難
● 子ども・高齢者は先に逃がす
● 第2波以降の方が危険と知っておく

→ “揺れたら逃げる” に理由を求めない。


■まとめ|地震津波は“地震より後に来る最大の脅威”。しかし正しく逃げれば助かる災害

地震津波から学べるポイントは次の通り。

● 海底変動で海全体が動く
● 海溝型巨大地震が最も危険
● 第2波以降が本番
● 到達が早く、見えてからでは逃げられない
● 揺れが小さくても津波は発生する
● 警報解除まで海へ近づかない
● 家庭では“早く・高く・戻らない”が命を守る基本

地震津波は非常に危険だが、
正しい知識と行動があれば助かる確率は大きく上がる。
今日、家族で“地震の後どう動くか”を共有しておくことが
最大の防災になる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました