【防災士が解説】防災×高齢者|“地震・停電・寒さ・転倒・避難遅れ”が命に直結する高齢者家庭の防災対策

高齢者は大人よりも“災害に弱い”特性がある。
身体機能・判断力・視力・筋力の低下により、

● 避難が遅れる
● 転倒しやすい
● 寒さに弱い
● 停電の影響を強く受ける
● 火災時に逃げ遅れがち
● 持病が悪化しやすい

ここでは、防災士として
“高齢者を災害から守るための家庭防災”
を徹底的に解説する。


■① 高齢者は“避難スピードが半分以下”。揺れたら即避難が基本

高齢者は歩行スピードが若年層の 1/2〜1/3

● 足が上がらない
● 段差が怖い
● 方向転換が遅い
● 長距離の移動が難しい

そのため、地震や津波のような「時間勝負」の災害では、

→ 揺れた瞬間に避難開始 → 迷わず近くの避難ビルへ → 家族の帰りを待たない

この3つが命を守る。


■② 高齢者は“転倒リスクが圧倒的に高い”。家具固定が命の差

地震時の高齢者の死因の多くが“転倒・落下物”。

● 本棚の下敷き
● テレビの転倒
● 食器棚が倒れる
● 階段から落下
● ベッドから転げ落ちる

対策は家の環境づくり。

● 家具固定
● 窓ガラスに飛散防止フィルム
● 廊下に物を置かない
● 夜は足元ライトを使う
● ベッド周りを片付ける

“片付けるだけでも命を守れる”のが高齢者防災。


■③ 停電・寒さは高齢者にとって“命に関わる”

高齢者は体温調節機能が低いため、
冬の停電は特に危険。

● 低体温
● 倒れる
● 水道凍結で生活不能
● 暖房器具が使えない

備えるべきものは、

● 毛布・寝袋
● カイロ
● 懐中電灯
● モバイルバッテリー
● カセットコンロ
● 水と食料

特に 寝袋は高齢者ほど必須
停電時の寒さはあっという間に体力を奪う。


■④ 火災は逃げ遅れが最大のリスク。早期の気づきが命を救う

高齢者は火災で“逃げるのが遅い”。

● 警報音に気づかない
● 判断が遅れる
● つえ・歩行器でスピードが出ない
● 夜間の視力低下

家庭の火災対策は、

● 火災警報器を全室に設置
● ストーブ周りに物を置かない
● コンロ周りの油汚れを掃除
● 延長コードを多用しない
● 足元ライトを設置

火災は 初期の10秒が生死を分ける。


■⑤ 持病・薬・医療機器が“災害時に途切れやすい”

高齢者は薬を必要とすることが多い。

災害時に起こるのは、

● 薬が無くなる
● 病院が開いていない
● 医療機器が停電で使えない
● 呼吸器や吸引器が停止

家庭の対策は、

● 1週間分の薬
● お薬手帳のコピー
● 医療機器のバッテリー
● 停電時の代替手段の確認

これは“命をつなぐ備え”。


■⑥ 高齢者は“避難所環境”が負担になりやすい

避難所は高齢者に不向き。

● 床が固くて眠れない
● 寒い
● トイレが遠い
● プライバシーがない
● 人の気配で眠れない
● 持病が悪化する

家庭では、

● エアマット
● 毛布
● ひざ掛け
● 折り畳みイス
● 耳栓
● 水分補給

“避難所の生活に耐えられる装備”が必要。


■⑦ 介護が必要な高齢者は“家族だけで守らない”

災害時、家族だけでの介助は不可能な場面が多い。

● 階段を降ろせない
● 立てない
● 車椅子で避難困難
● 家族が同時にパニック

地域との連携が命を救う。

● 近所の助け合い
● 民生委員
● ケアマネ
● 地域包括支援センター
● 町内会の支援体制

“地域で守る防災”が現実的。


■まとめ|高齢者防災は“家の整備・早期避難・寒さ対策”が命を守る

この記事のポイント。

● 高齢者は避難スピードが半分なので早期避難が必須
● 家具固定が最重要
● 停電・寒さは命に直結
● 火災は逃げ遅れが最大のリスク
● 薬・医療機器の備えが必須
● 避難所生活は高齢者に大きな負担
● 地域で高齢者を支え合うことが現実的な防災

結論:

防災士として強く言いたいのは、 “高齢者は家の環境づくりで助かる確率が何倍も上がる”ということ。 家族の一手間が、未来の命を守る最強の備えになる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました