マンションは“地震に強い”というイメージがあるが、
実は マンション特有の災害リスク が存在する。
ここでは、防災士として
“マンションだからこそ必要な防災対策”
をわかりやすく解説する。
■① 高層階ほど“揺れが大きく・長くなる”
マンションは構造上、
● 上層階ほど揺れが増幅
● 揺れが長時間続く
● 家具転倒リスクが高い
● エレベーター停止で孤立
という現象が起きる。
10階以上は、
“震度5でも体感は震度6級”になることがある。
対策は必須。
● 家具固定(L字金具+耐震ベルト)
● テレビ・冷蔵庫の転倒防止
● ガラス飛散フィルム
● 寝室に大型家具を置かない
高層ほど“転倒対策が命を守る”。
■② 停電=給水停止につながるのがマンション最大の弱点
マンションの給水は基本的に“電力頼り”。
● ポンプ停止
● 貯水槽から上階へ水が行かない
● エレベーター停止
● オートロックも停止
そのため、停電すると
→ 上階ほど“完全断水”する。
家庭の備えは、
● 飲料水(1人3L×3〜7日)
● 風呂の残り湯を非常用に確保
● 給水車へ運ぶためのキャリー
● ポータブル電源
特に高層階は水の確保が最優先。
■③ マンションは“火災より煙のリスク”が高い
マンションは鉄筋で燃えにくいが、
内部の部屋は普通の木材・内装材。
さらに、
● 廊下の煙充満
● 階段が使えない
● 上階ほど煙が上がりやすい
という特有の危険がある。
家庭で必要なのは、
● 懐中電灯
● 低い姿勢で避難
● タオルで口・鼻を覆う
● 火災時はエレベーターを絶対使わない
煙は10〜20秒で視界が奪われる。
“煙から逃げる”意識を持つこと。
■④ エレベーター停止は“長期化する”と思って備える
大地震後は必ずエレベーターが一時停止する。
点検優先のため、
● 半日
● 1日
● 地域によっては数日
止まるケースもある。
特に高齢者・妊婦・小さな子どもがいる家庭では、
● 下階で避難生活する
● 水・食料を玄関に置いておく
● 非常持ち出し袋を軽量化する
“エレベーター無しで生活できる準備”が必要。
■⑤ 換気・排気が止まると“マンションは一気に暑く・寒くなる”
停電すると、
● エアコン停止
● 換気扇停止
● 結露・カビ
● 夏の熱中症
● 冬の低体温
マンションは密閉性が高いぶん、
停電時は温度変化が極端になる。
対策は、
● モバイルバッテリー
● USB扇風機・充電式カイロ
● 窓の遮熱・断熱シート
● 暑さ・寒さ対策グッズの常備
“温度管理”がマンション防災の生命線。
■⑥ マンションの“共用部トラブル”は住民全体の問題
マンション災害では、
● 駐車場冠水
● エントランス浸水
● 自転車置き場の転倒
● 外壁タイル落下
● 配管トラブル
これらが多発する。
住民は、
● 管理組合の防災計画の確認
● 避難経路の共有
● 地震保険の加入
● ベランダの物を飛ばさない
これらを家庭単位で実施しておく必要がある。
■⑦ マンションこそ“避難所より在宅避難”が基本
マンションは構造が強いぶん、
耐震性自体は非常に高い。
そのため、
● 在宅避難が可能
● 住戸内で生活が続けやすい
● プライバシーも確保できる
→ ただし、水と電気の備えが十分ある場合に限る。
防災士として重要視するのは、
● 食料7日分
● 水7日分
● 簡易トイレ50〜100回分
● ランタン
● ポータブル電源
● カセットコンロ
これさえあれば“避難所に行かない選択”ができる。
■まとめ|マンションは“強みと弱点”がハッキリしている
この記事のポイント。
● 高層階は揺れやすく家具転倒が危険
● 停電=断水になる構造
● 火災は煙が最大の脅威
● エレベーター停止は長期化する
● 温度管理が難しくなる
● 共用部トラブルは全体で対応
● 在宅避難には備蓄7日分が必須
結論:
防災士・元消防職員として伝えます。 マンションは“正しく備えれば最強の在宅避難拠点”。 家族の命を守るカギは、水と電気の確保に尽きます。

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