緊急消防援助隊には「救助・消火・救急」だけでなく、
現場全体を動かす“頭脳部隊”が存在する。
それが 指揮支援隊（CS：Command Support）。
ここでは元消防職員として、
その具体的役割と重要性をわかりやすく解説する。
■① 指揮支援隊は“災害現場の司令塔サポート”
大規模災害では、現場が複雑化し
「どの部隊をどこで動かすか」
という調整が最も重要になる。
指揮支援隊は、統合指揮本部の下で、
● 指揮官の判断材料を集める
● 情報整理
● 現場の状況把握
● 各部隊との連絡調整
つまり“現場司令塔のアシスタント”として機能する。
これがあるから、現場が混乱しない。
■② 情報収集が最大の任務
災害現場では、情報が秒単位で変わる。
● 建物倒壊状況
● 火災の延焼方向
● 救助要請の数
● 孤立地域
● 道路寸断
● 水利の確保状況
こうした情報を
現場 → 指揮本部 → 支援隊 → 各部隊
へと素早く伝える。
これにより、誤判断が減り、救助効率が爆発的に上がる。
■③ 部隊配置の管理（オペレーション管理）
指揮支援隊は、
● どの部隊がどこで活動しているか
● 交代要員の調整
● 活動エリアの安全確認
● 重複出動の防止
これらを“見える化”して管理する。
大規模災害では数百隊が動くため、
この管理がないと現場はすぐにパンクする。
■④ 地図と通信システムの運用
指揮支援隊は、
● デジタル地図
● ドローン映像（自治体による）
● 現場カメラ映像
● 無線記録
● 災害情報システム
を使い、
“リアルタイムの災害図” を作る。
指揮官はこの地図を見ながら
活動方向・救助対象を判断する。
■⑤ 無線通信の確保
大災害では通信障害が頻発する。
● 携帯電話不通
● 回線混雑
● 無線中継の途切れ
指揮支援隊は、
● 無線車（通信指揮車）の運用
● 中継局の設置
● 周波数の切り替え
● 各隊の通信調整
を行い、
“現場の会話が途切れない”状態を保つ。
これは命に直結する任務。
■⑥ 活動記録と指揮官ブリーフィング
支援隊は、災害中ずっと
● 活動ログ
● 進捗
● 救助人数
● 出動隊数
● 被害状況の更新
を記録し、
指揮官の判断をサポートする。
また、指揮官の指示を
各部隊へ迅速に共有する役割も担う。
■⑦ 後方支援調整も担当
現場活動を継続するために、
● 燃料補給
● 水・食料
● 休息スペース
● 部隊交代
● 野営場所の確保
などの“後方支援”もコントロールする。
これにより、救助部隊は
目の前の任務に集中できる。
■まとめ｜指揮支援隊は“現場全体を動かす頭脳部隊”
この記事のポイント。
● 指揮官をサポートする最重要部隊
● 情報収集で現場の全体像を作り上げる
● 部隊配置・通信・地図管理の専門部隊
● 後方支援まで含め現場の運用を最適化する
● 彼らがいるから救助・消火部隊が最大力を発揮できる
結論：
元消防職員として断言します。 指揮支援隊が機能することで、現場が“混乱から秩序”に変わる。 大規模災害で真に力を発揮するのは、現場の司令塔を守るこの部隊です。 緊急消防援助隊の“見えない主力”と言っても過言ではありません。
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