【元消防職員が解説】医療班とDMAT①|“現場で命を守る最強タッグ”。災害医療の連携はこうして動く

大規模災害では、
消防・救助隊・救急隊だけでは人命を守りきれない。
その中心となるのが 医療班(災害現場の医療チーム)
DMAT(災害派遣医療チーム) の連携だ。

ここでは元消防職員として、
“医療班とDMATが現場でどう連携し、
どう命を救っているのか”を徹底解説する。


■① 医療班=現場に最初に入る“初動医療の専門部隊”

医療班は、消防や救助隊と同時に現場へ入り、

● トリアージ(重症度判定)
● 応急処置
● バイタル測定
● AED・止血・固定
● 搬送判断
● メディカルコントロールとの連絡

など、
「命をつなぐ最初の医療」 を担当する。

災害直後の混乱の中、
医療班は“現場医療の核”となる。


■② DMAT=災害医療の“機動力エリートチーム”

DMAT(災害派遣医療チーム)は、

● 高度な医師
● 救急救命士
● 看護師
● ロジ(後方支援担当)

で構成される専門部隊。

特徴は、

● 発災30分〜1時間で出動
● 自前で72時間活動可能(自己完結型)
● 救急医療・外科処置・重症管理が可能
● 災害拠点病院と連携して治療継続

医療班が「初動治療」を担当するなら、
DMATは “重症者の命を救う専門医療” を担う。


■③ トリアージは“医療班→DMAT”の情報共有で精度が上がる

現場で最も重要なのが トリアージ(優先順位決定)

医療班がまず判定し、
DMATがその情報を元に、

● 追加評価
● 治療の優先度調整
● 搬送先の選定
● 重症者の集中管理

を行う。

特にDMATは“病院の満床状況”を把握しており、
どの病院に誰を搬送すべきか を瞬時に判断できる。


■④ DMATは医療班の“治療の拡張”を担当する

医療班ではできない医療行為を、
DMATが現場で実施できる。

● 高度な薬剤投与
● 過酷環境下での外科処置
● 多発外傷(複数の怪我)への対応
● 人工呼吸器・点滴管理
● 重症患者の安定化

医療班の治療をDMATが“上乗せ”し、
搬送までの生存率を大幅に上げる。


■⑤ 医療班は“患者搬送計画”を作り、DMATが“搬送指揮”をする

災害医療では、
“誰を・どこへ・どの順番で搬送するか” が命を左右する。

連携の流れはこうだ。

① 医療班:トリアージ → 一次治療 → 患者分類
② DMAT:搬送順序を決定 → 病院の受け入れ調整
③ 消防救急隊:最適な救急車・ヘリ搬送を実行

DMATは災害拠点病院と直接連絡するため
搬送の混乱が起きない。


■⑥ 情報共有が“災害医療の質”を決める

医療班とDMATは常に、

● 患者数
● 重症度
● 必要物資
● 受け入れ可能病院
● 危険区域情報

などを共有し、
全体最適で行動する。

この連携が崩れると、

● 同じ患者への重複治療
● 重症者の見落とし
● 病院に患者が偏る
● 搬送の混乱

が起こり、命に大きな影響が出る。


■⑦ 災害時の“医療現場を統括する”のはDMATの運用力

大規模災害では、
DMATが災害医療コーディネーターとして働く。

● 医療班への治療指示
● 救急隊との搬送連携
● 病院との受け入れ調整
● 指揮本部への状況報告

災害医療は、
医療班の現場力 × DMATの統括力 で成り立っている。


■まとめ|医療班 × DMATは“災害時の命のライン”

この記事のポイント。

● 医療班は初動の応急処置・トリアージの要
● DMATは高度医療・搬送指揮・病院調整を担当
● 連携があるから重症者を救える
● 情報共有が災害医療全体の質を決める
● 災害現場は医療班とDMATの協働で成り立つ

結論:

元消防職員として断言します。 医療班とDMATの連携は“災害医療の心臓”。 この2つが噛み合うことで、 失われるはずだった命が確実に救われます。

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