大規模災害では、現場が広範囲に及び、被害状況も刻々と変化する。
このとき最も重要なのが 「正確で速い情報収集」。
その任務を担うのが
緊急消防援助隊・情報収集隊(リエゾンチーム)。
ここでは元消防職員として、
“情報収集隊が災害でどんな働きをしているのか”
をわかりやすく解説する。
■① 被害状況を“最速で全体把握”する
情報収集隊は現場に到着後すぐに、
● 建物倒壊
● 火災の発生状況
● 行方不明者の情報
● 道路の寸断
● 土砂災害の発生箇所
● ライフライン(電気・水・ガス)の被害
● 避難所の開設状況
これらを 迅速に地図化・一覧化 していく。
災害初動は「状況が分からないこと」が最も危険。
その不安を解消するのが情報収集隊。
■② 危険箇所の把握と立入判断の材料を作る
大型倒壊建物・地盤沈下・火災拡大など
“危険区域”の把握も重要任務。
● 立入可能か
● 隊員を投入してよいか
● 二次災害の危険があるか
● 重機が必要か
● ルートが確保できるか
これらの判断材料を、
指揮本部へ正確に伝える。
救助隊・消防隊の “安全確保” のために
情報収集隊の情報は欠かせない。
■③ 道路状況・アクセスルートの確認
現場に向かう部隊の通行経路を確保するため、
● 通行可能道路
● 落石・倒木・冠水箇所
● 片側通行の場所
● 橋梁やトンネルの損傷
● 大渋滞エリア
などを地図に反映し、
“行けるルート・行けないルート” を本部へ報告。
これにより救助隊の出動ルートが決まる。
■④ 住民へのヒアリングで“現場の声”を集める
情報収集隊は地域住民にも積極的に聞き取りを行う。
● 「どこが一番被害が大きい?」
● 「逃げ遅れた人はいないか?」
● 「家族が戻っていない」
● 「土砂が流れ込んでいる」
地域の人しか知らない情報は非常に重要。
机上では分からない“リアルな現場の声”を
素早く共有することで救助確度が上がる。
■⑤ 各部隊との連携・情報整理
情報収集隊は、単に情報を集めるだけでなく、
● 救助隊
● 消防隊
● 後方支援隊
● 医療班
● 航空隊
などからの情報を 一つに統合 して
本部が判断しやすい形に整理する。
これが災害対策本部の“意思決定の土台”となる。
■⑥ ドローン・ヘリ・映像による空からの情報確認
近年は、空からの情報が非常に重要。
● ドローン映像
● ヘリの空撮
● 道路・川の俯瞰写真
● 土砂崩れの範囲確認
空からの視点があることで、
地上では見えない危険が把握できる。
災害対応は「空×地上」の両方が必要。
■⑦ 情報をリアルタイムで指揮本部へ報告
情報収集隊は、集めた情報を
● 写真
● 動画
● 地図上のピン
● 状況メモ
● 被害一覧
として リアルタイム報告 する。
“情報の遅れ=救助の遅れ”になるため、
ひとつのミスも許されない重要任務。
■⑧ 二次災害の予兆を探る
現場で見つけた小さな兆候から
二次災害を予測することも役割。
● 斜面のひび割れ
● 河川の濁り
● ガス漏れの匂い
● 建物傾斜
● 地盤沈下の進行
“まだ起きていない危険” を察知するのがプロ。
■まとめ|情報収集隊は災害現場の“目と耳”
この記事のポイント。
● 被害状況を最速で把握
● 危険箇所を特定し安全を守る
● 通行ルートを確認し、救助隊の動線を確保
● 住民から直接情報を収集
● 他部隊の情報を統合し判断材料を作る
● 空撮・ドローンで広域を確認
● 迅速な報告で本部の意思決定を支える
● 二次災害の予兆を探す専門家
結論:
元消防職員として断言します。 情報収集隊の精度が上がるほど、救助成功率は確実に上がる。 現場で命を守るのは“正確な情報”と、それを集める人の力です。

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