大規模災害では、まず真っ先に 通信が途絶える。
電話も無線もネットも不安定になり、
「誰が・どこで・何を必要としているか」が分からなくなる。
その状況で活動全体を支えるのが
緊急消防援助隊・通信支援（通信支援隊）。
ここでは元消防職員として、
“通信支援がなぜ災害で最重要なのか”
を分かりやすく解説する。
■① 通信が途絶えると“災害対応そのものが破綻する”
災害初動でよく起きるのが、
● 携帯電話の圏外
● 回線過負荷による通信不能
● 指揮本部と現場がつながらない
● 部隊間で連絡が取れない
通信ができなければ、
● 指示が出せない
● 部隊を動かせない
● 被害把握が進まない
● 医療要請が届かない
● 救助隊の安全が確保できない
つまり、通信が止まると災害対応は機能停止する。
通信支援隊は、これを復旧させる最前線。
■② 衛星電話・自治体無線など“独自の通信網”を構築する
通信支援隊は、現場に入るとすぐに
● 衛星電話
● 衛星インターネット
● 防災行政無線
● 消防無線の中継
● 移動通信車
● モバイル基地局
などを使って、
災害地専用の“臨時通信ネットワーク” を構築する。
これにより、スマホが圏外でも
消防・警察・自治体が連携できる。
■③ 指揮本部と現場の“情報の橋渡し役”
通信支援の最も重要な役割は、
「指揮本部 ⇄ 現場部隊」 この情報の往復を止めないこと。
● 救助要請の伝達
● 部隊の配置変更
● 避難所からの連絡
● ライフライン被害報告
● 医療搬送の指示
● 危険箇所の共有
これらの情報をリアルタイムで流し続け、
指揮判断が遅れないよう支える。
■④ 無線の混信・途絶を防ぐ“通信管理”も任務
災害時は無線の利用量が爆発的に増える。
● 混信（チャンネルがかぶる）
● ノイズ発生
● 電波が届かない
● 中継局が倒壊している
通信支援隊は、
● 周波数の調整
● 中継場所の再配置
● アンテナ設置
● 電波の死角の補正
など、安定して通話できる環境 を整える。
■⑤ 停電しても通信できる“電源確保”が必須
通信設備は電気がなければ働かない。
そのため通信支援隊は、
● 発電機
● 大容量バッテリー
● ソーラーパネル
● 車載電源
を使って 通信設備の命である“電源”を確保 する。
停電が長期化した災害では、
この電源維持が最も重要な任務となる。
■⑥ 通信が安定すると“救助効率が劇的に上がる”
通信が整備されると、災害対応は一気に加速する。
● 救助の優先順位が明確になる
● 部隊の再配置がスムーズ
● 医療班との連携が速い
● 避難所との情報共有が早い
● 救援物資の到着が早まる
● 危険情報が即時伝達される
通信は“見えないインフラ”だが、
救助スピードを決める一番大きな要因。
■⑦ 通信支援は“隊員の安全を守る盾”でもある
現場での危険情報が遅れると、
● 二次災害
● 地盤崩壊
● 余震による倒壊
● 有毒ガス
● 孤立による取り残し
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