【元消防職員が解説】緊急消防援助隊 × 熱中症対策と健康管理|“現場で倒れないための8つの鉄則”

緊急消防援助隊(緊援隊)の活動は、炎天下・真夏・高温火災・長時間活動など、
熱中症リスクが極めて高い環境で行われます。

実際、熱中症は隊員の負傷原因として上位に入り、
「体調管理が不十分=隊の戦力喪失」 につながる重大要因です。

ここでは元消防職員として、緊援隊が実践する熱中症対策と健康管理の“核心”を解説します。


■① 熱中症対策は「装備よりも先に整えるべき準備」

熱中症は 準備不足でほぼ100%発生する防げる事故 です。

緊援隊が現場へ入る前に行うことは、

  • 前日の睡眠
  • 朝の水分摂取
  • 塩分補給
  • 暑熱順化(体を暑さに慣らす)
  • 活動前の体調自己チェック

現場に行く前から勝負は始まっています。


■② 活動前の“水分・電解質補給”を徹底する

消防は発汗量が多く、体重2〜3kg減ることもあります。
そのため緊援隊は活動直前に必ず、

  • スポーツドリンク
  • 塩タブレット

などで 水分+電解質 を同時に補給します。

水だけでは逆に危険で、低ナトリウム血症を招きます。


■③ 防火衣の中は40℃以上になる“灼熱地獄”

炎天下で防火衣を着ると、内部温度は40〜60℃まで上昇することがあります。

  • こまめな服の開放
  • 陰でのクールダウン
  • ベストの冷却(保冷剤など)
  • 活動前に濡れタオルを首へ

これらを徹底し、少しでも体温上昇を遅らせる工夫が必要です。


■④ 20〜30分ごとの“強制休憩”が必須

熱中症は「自分で自分の危険に気づけない」災害です。
そのため緊援隊は 強制的に休憩を入れる方式 を取ります。

  • 早め早めの休憩
  • 交代制で活動
  • 涼しい場所での冷却
  • ヘルメット・防火衣を脱いで体温下降

元消防職員として、
無理をした隊員から倒れるのは現場の“あるある” です。


■⑤ 指揮者が隊員の“異変サイン”を見逃さない

熱中症は必ず前兆があります。

  • 返事が遅い
  • 歩き方がふらつく
  • 顔が赤い or 逆に青い
  • 作業が雑になる
  • 汗が止まる

緊援隊では、これらの異常を指揮者が即座に察知し、
即撤退・冷却・補水 を判断します。


■⑥ 現場には“水分ステーション”を必ず設置

活動拠点(ベースキャンプ)には、必ず水分補給所を作ります。

  • 冷えた水
  • スポーツドリンク
  • 氷・保冷剤
  • 塩タブレット
  • 椅子と日陰
  • ミスト・扇風機

これにより隊員の体力維持が飛躍的に向上します。


■⑦ 夜間・休息時の健康管理も“活動の一部”

熱中症は日中だけでなく、夜や睡眠中にも危険があります。
緊援隊は休息中も健康管理を怠りません。

  • 十分な睡眠
  • 風通しの確保
  • 水分補給の継続
  • 食事と塩分摂取
  • 体調不良者の早期申告

隊員が倒れれば、翌日の活動力が著しく低下します。


■⑧ 熱中症リスクが高い隊員を“事前に外す”判断もある

指揮者は、以下の隊員を前線に出さない判断をすることもあります。

  • 睡眠不足
  • 体調不良
  • 食事を取れていない
  • 発熱・倦怠
  • 強い疲労
  • 夏バテ気味

これは甘えではなく、
“隊員を守るためのプロの判断” です。


■まとめ|熱中症対策は「人を守るための戦術」

緊急消防援助隊は、暑さの中での活動が最も危険であることを熟知しています。

  • 活動前の準備
  • 電解質補給
  • 強制休憩
  • 体温管理
  • 指揮者の観察
  • クールダウン設備
  • 夜間含む健康管理

これらを徹底することで、隊員の命を守りつつ、
継続的な活動力を維持しています。

結論:
熱中症対策と健康管理は、緊急消防援助隊の“命を守る最重要任務”。 元消防職員として、暑さは火より危険だと断言します。

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