地震で命を落とす原因の多くは、建物の倒壊ではなく家具の転倒です。
【元消防職員・防災士】として被災現場に入ったとき、私は何度もその現実を見てきました。
「家具さえ固定していれば助かった命」が、実際に数え切れないほどあるのです。
家具転倒が“最大の脅威”になる理由
地震の揺れは、たった数秒で家中の家具を凶器に変えます。
・本棚や食器棚の倒壊で下敷きになる
・テレビや電子レンジの落下で頭部を強打
・ガラス戸や水槽が割れて飛散
・倒れた家具が避難経路をふさぐ
これらは震度6クラスでは「ほぼ確実」に起きます。
実際、阪神淡路大震災では屋内での圧死・窒息死の約6割が家具の転倒によるものと報告されています。
家具固定のポイントは“位置と高さ”
防災士としての経験から、家具固定の鉄則は次の3つです。
- 背の高い家具はL字金具で壁固定
食器棚・本棚・タンスなどは、必ず壁にネジで固定しましょう。 - 突っ張り棒は“補助的”に使う
突っ張り棒だけでは大地震の横揺れに耐えられない場合もあります。
→ L字金具+突っ張り棒の“ダブル固定”が理想です。 - 寝室と子ども部屋の安全ゾーンをつくる
家具のない壁側・ドア付近に避難スペースを確保。
寝る位置の上に、棚・照明・窓ガラスがこないよう配置を見直しましょう。
防災士がすすめる“転倒防止グッズ”
私が実際に使用して効果を感じたアイテムを紹介します。
・L型固定金具(石膏ボードでもOKタイプ)
・耐震マット(テレビや家電の下に貼る)
・ストッパー付きキャスター(移動家具用)
・飛散防止フィルム(ガラス戸や鏡に)
・扉ロック(地震で中身が飛び出すのを防ぐ)
これらはホームセンターや通販で簡単に揃います。
取り付けは1つ10分以内でできるものがほとんど。
“命を守る投資”として、1万円以内でできる防災行動です。
家具固定を“家庭防災訓練”にする
家族全員で、次の3つを一緒に確認してみましょう。
・倒れそうな家具を指差し確認する
・寝る位置の安全ゾーンを話し合う
・固定されていない家具のリストを作る
こうすることで、子どもにも「地震=家具が倒れる」という意識を育てられます。
防災は“怖がること”ではなく、“準備して安心すること”です。
まとめ:倒れない家具が、命を守る
家具を固定することは、特別な防災ではありません。
でも、最も“効果の高い防災”です。
揺れは止められない。
けれど、倒れない部屋はつくれる。
今日から一つずつ固定することで、家族の命が守られます。
【元消防職員・防災士】として、
私は“家具固定こそが最も身近な命の防災”だと伝えたいです。
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