日本は地震大国であり、南海トラフ・首都直下・巨大内陸地震など、全国で甚大なリスクを抱えています。
これらの大規模災害に備えるために制定されたのが 「大規模地震対策特別措置法(大震法)」 です。
普段はあまり意識されませんが、この法律があることで
“自治体・企業・住民の防災対策が国全体で強化されている” と言えます。
■① 大規模地震対策特別措置法とは?
大震法は、
全国規模で甚大な被害が想定される地震に対して、国・自治体・住民の役割を明確化し、対策を総合的に進める法律 です。
対象となるのは特に危険性が高い地域で、
- 南海トラフ巨大地震
- 首都直下地震
- 海溝型巨大地震
- 大規模な内陸地震
など、社会・経済に甚大な影響を与える地震が対象です。
■② 国・自治体の責務が明確化されている
大震法では、地震対策の“役割分担”が明確に定められています。
国の役割
- 大規模地震の調査・予測の実施
- 基本計画の策定
- 南海トラフ防災対策の推進
- 資金・設備・技術の支援
自治体の役割
- 市町村防災計画の強化
- 地域住民への周知・避難体制整備
- 学校・公共施設の耐震化
- 企業との連携強化
“どこが何をするか”を法律で整理することで、災害時の混乱を最小限にします。
■③ 「地震防災対策特別強化地域」が指定される
大震法では、特に危険度の高い地域を
「地震防災対策特別強化地域」 として指定しています。
指定地域は、
- 建物の耐震化
- 津波避難施設整備
- 防災教育の強化
- 住民への情報提供
- 災害時の指揮体制整備
これらの対策が“優先的かつ集中的”に進められます。
■④ 南海トラフ巨大地震は特に重点対策が進む
大震法の中でも、南海トラフ地震は最重要事項です。
法律に基づき
- 広域避難体制
- 住民避難行動計画
- 早期の津波避難情報
- 自治体間の広域連携
- DMAT・緊急消防援助隊の展開
などが国主導で進められています。
■⑤ “事前避難”を可能にする法的根拠
大震法は、巨大地震発生時に
「事前避難」や「事前準備行動」 を要請する根拠になります。
- 南海トラフ「臨時情報」
- 巨大地震の“切迫可能性”が高い場合の対応
- 高齢者や障がい者の早期避難
- 病院・福祉施設の警戒体制強化
これらはすべて、法律に基づいて実施されます。
■⑥ 耐震化を強制・推進する仕組みがある
大震法に基づき、耐震化が強く促進されています。
- 学校・病院・庁舎の耐震化
- 古い木造住宅の耐震診断
- 企業の耐震計画
- 公共インフラの補強
- 危険ブロック塀撤去
地域の揺れやすさを踏まえて、
“優先順位をつけて”耐震化が進められる法律的基盤です。
■⑦ 災害時の応急対応も法律で定められている
被害が発生した際の対応も法律で明文化されています。
- 国の緊急対策本部の設置
- 基地局・通信の復旧
- 道路・鉄道の緊急復旧
- 被災者への生活支援
- 医療救護・物資輸送
- 自衛隊・消防・警察の総力展開
“誰が何をするか”が明確化されています。
■⑧ 住民にも求められる役割がある
大震法では住民にも防災行動が求められています。
- 自宅の耐震化
- 家具固定
- 備蓄(最低3〜7日)
- ハザードマップの確認
- 高齢者・子どもを守る行動
- 地域防災活動への参加
「自助」の強化は法律の柱の1つです。
■まとめ|大規模地震に備えるための“日本の防災の柱”
大規模地震対策特別措置法は、
国全体で巨大地震に備えるための最も重要な法律です。
- 国・自治体の対策が強化
- 特に危険度の高い地域を重点整備
- 南海トラフ地震対策を加速
- 耐震化・避難体制を法律で推進
- 国民一人ひとりにも防災行動を求める
結論:
大規模地震対策特別措置法は、日本の命を守る“防災の基盤”。 防災士として、巨大地震に備える行動を日常レベルで強く推奨します。

コメント