【防災士が解説】防災 × 誘発地震|大地震のあとに起きる“連鎖的な揺れ”を正しく理解する

大きな地震が発生すると、その後に周辺で地震が増えることがあります。
このように ある地震がきっかけとなって別の地震が発生する現象 を「誘発地震」と呼びます。

近年の地震研究でも非常に重要視されており、
地震後の備えや避難判断において欠かせない知識です。


■① 誘発地震とは?

誘発地震とは、
大きな地震により周囲の地下にかかる力(応力)が変化し、その結果として発生する地震 のことです。

  • 大地震の直後に増える小さな地震
  • 断層が連動して起きる中規模地震
  • 数ヶ月〜数年後に発生する別地域の地震

これらは“偶然”ではなく、科学的に説明される現象です。


■② なぜ誘発地震が起きるのか?

大地震が起きると、断層周辺の岩盤にかかる力が大きく変化します。

  • 断層のズレによって周囲のプレートに力が伝わる
  • 圧力が緩む地域・逆に高まる地域が生まれる
  • 不安定な断層が一気に動きやすくなる

この「応力変化」が引き金となり、誘発地震が発生します。


■③ 過去の大地震でも誘発地震は多発している

日本の歴史的大地震でも、誘発地震は多数確認されています。

  • 1995年 阪神・淡路大震災の後、周辺で地震増加
  • 2011年 東日本大震災後、全国的に地震活動が活発化
  • 2016年 熊本地震では連続する本震級が発生
  • 2024年 能登半島地震でも周辺地域で誘発地震が継続

「大きい地震の後は安全」という考えは誤りで、
むしろ誘発地震への警戒が必要になります。


■④ 誘発地震は本震よりも危険になることもある

誘発地震の特徴として、
場合によっては“誘発された地震のほうが大きくなる”ことがあります。

  • 熊本地震(前震と本震の入れ替わり)
  • 2つの断層が連鎖的に破壊
  • 規模が近い揺れが連続するケースも多い

このため、最初の一回の揺れだけで安心してはいけません。


■⑤ 遠く離れた地域でも誘発されることがある

誘発地震は近くの断層だけではありません。

  • 数百〜数千 km 離れた断層が刺激される
  • 東日本大震災後、長野県・静岡県でも地震が増加
  • 応力変化は広範囲に影響する

地震は“日本全国の断層がつながった巨大なシステム”であることがよく分かります。


■⑥ 誘発地震を防ぐことはできない

誘発地震は自然現象であり、
人間の力で止めることはできません。

しかし、
知識があるだけで行動が大きく変わる 分野でもあります。

  • 大地震後の安全確認
  • 避難を続けるか判断
  • 建物の損傷の再チェック
  • 家具転倒リスクの再確認

“次に備える意識”として極めて重要です。


■⑦ 大きな本震のあと数日〜数週間は特に注意

誘発地震は、
地震発生後しばらくの期間、最も増加します。

  • 48時間が最も地震が多い
  • 1週間は特に警戒が必要
  • 1ヶ月〜数年続くこともある
  • 断層破壊の広がりにより新たな地震が起きる可能性

最初の揺れが落ち着いても、危険は終わりません。


■⑧ 家庭でできる“誘発地震への備え”

誘発地震への対策は、日常の防災にも直結します。

  • 大きな地震の後は必ず家具固定を再点検
  • 建物のひび割れ・傾きチェック
  • 避難用の荷物をすぐ持てる位置に
  • 安全な避難経路の再確認
  • 子ども・高齢者のケアを強化
  • ライフライン停止への備え(3〜7日分の備蓄)

「次の揺れ」が来る前提で行動することが大切です。


■まとめ|誘発地震は“大地震のあとに必ず向き合う現実”

誘発地震は、大きな地震が引き起こす連鎖的な揺れであり、
科学的にも非常に信頼性の高い現象です。

  • 地震後の応力変化で地震が連鎖
  • 本震より大きくなる可能性もある
  • 日本の大地震では必ず確認されている
  • 大地震後こそ最大限の警戒が必要
  • 家庭・地域での継続的な避難準備が重要

結論:
誘発地震は“大地震のあとに必ず起きうる現象”。 防災士として、1回の揺れで安心せず、継続的に備える重要性を伝え続けます。

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