【防災士が解説】防災 × アウターライズ地震|巨大津波を引き起こす“海溝の外側で起きる地震”の正体

地震といえば「プレート境界」で起きるイメージが強いですが、
日本に大きな危険をもたらすのが アウターライズ地震 です。

これは海溝の“外側”で起きる特殊なタイプの地震で、
発生すれば 巨大津波を伴う可能性が非常に高い のが特徴です。

南海トラフ、千島海溝、日本海溝でも発生の可能性があるため、
正しい知識を持つことが非常に重要です。


■① アウターライズ地震とは?

アウターライズ地震とは、
海溝のさらに沖側(プレート沈み込み前の外側)で発生する地震 を指します。

  • プレートが曲がる部分に大きな力がかかる
  • 海溝を挟んで“外側”で起きるため、揺れはそこまで大きくない
  • しかし津波が非常に大きくなる可能性がある

「揺れは軽いのに津波が巨大」という特徴があり、
防災上の重要リスクとして扱われています。


■② なぜアウターライズ地震が起きるのか?

プレートが海溝に沈み込む際、
“曲げられる側”に強い引っ張り力(張力)が働きます。

  • プレートの沈み込み
  • 曲がる部分の力の集中
  • 引っ張られる力による断層破壊

この結果、海溝の外側で大きな地震が発生します。


■③ 津波が巨大化しやすい理由

アウターライズ地震の最大の危険性は 津波です。

その理由は、

  • 海底が大きく上下に動きやすい
  • プレート外側の浅い領域で破壊が起きる
  • 津波の波源域が広範囲に及ぶ
  • 断層の傾きが津波を増幅させる

揺れが弱くても、津波だけが猛烈に大きくなるケースがあります。


■④ 2011年東日本大震災後にも“アウターライズ型”が発生

2011年以降、三陸沖で
アウターライズ地震と見られる地震活動が増加 しました。

  • 巨大地震後、外側のプレートに応力がかかる
  • 引っ張られる側で“破壊しやすい状態”になる
  • 津波を伴う地震が発生する恐れが高まる

巨大地震の後は特に発生リスクが上がります。


■⑤ 揺れが弱くても「津波警報」は発表されることがある

アウターライズ地震では、
体感の揺れ(震度)が小さくても、突然津波警報が出る ことがあります。

これは、

  • 津波だけが巨大
  • 海底の変動が大きい
  • 震源が浅い
  • 津波の増幅メカニズムが特殊

といった理由によるものです。

揺れが弱い=安全 ではありません。


■⑥ 日本周辺の主なアウターライズ地震のリスク地域

日本では以下の海域がリスクとされています。

  • 千島海溝
  • 日本海溝(三陸沖)
  • 南海トラフ(紀伊半島沖〜四国沖)
  • 伊豆小笠原海溝

このエリアは津波常襲海域であり、
自治体も避難計画を強化しています。


■⑦ アウターライズ地震の津波は“突然来る”

津波到達時間が非常に短いため、
自分の判断で避難する力(自助)が極めて重要です。

  • 揺れが弱くてもすぐ逃げる
  • 津波警報が出たら即避難
  • 夜間は特に早めの避難行動
  • 家族で避難ルートを共有しておく
  • 海の近くでは常に津波への注意が必要

「揺れが弱くても危ない」という知識が命を守ります。


■⑧ 家庭でできるアウターライズ地震への備え

アウターライズ地震への備えは、
津波防災そのものです。

  • 海沿いでは必ず高台・避難ビルを確認
  • 車で避難できない場合の徒歩ルート確認
  • 子ども・高齢者の避難支援を事前に決める
  • 夜間・雨天時の想定も行う
  • 家族が別々の場所にいる時の避難方法を共有
  • 観光地・釣り・海沿いドライブでは特に注意

“海の近く=津波即避難”を常に意識することが重要です。


■まとめ|アウターライズ地震は“揺れより津波が危険な地震”

アウターライズ地震は、
揺れが弱くても巨大津波が発生しやすい非常に危険な地震です。

  • 海溝外側で起きる特殊な地震
  • 揺れより津波の危険度が高い
  • 過去の巨大地震後に発生しやすい
  • 津波避難の判断力が命を守る
  • 家庭・地域での事前準備が極めて重要

結論:
アウターライズ地震は“揺れないのに津波が来る地震”。 防災士として、海沿いで少しでも揺れを感じたら即避難する重要性を伝え続けます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました