首都圏には3,600万人以上が暮らし、政治・経済・交通の中心が集中しています。
その直下で巨大地震が発生する可能性がある 首都直下型地震 は、
日本全体に甚大な影響を与える“国家的リスク”です。
国や自治体が繰り返し発表している被害想定をもとに、
防災士として必要なポイントを分かりやすく整理します。
■① 首都直下型地震とは?
首都直下型地震とは、
東京を中心とした首都圏直下の浅い場所で発生する大規模地震 の総称です。
特に危険とされるタイプは:
- プレート境界型地震(相模トラフ沿い)
- 活断層による直下型地震(東京・神奈川・埼玉周辺)
- 深さ10〜20km程度の浅い地震(揺れが非常に強い)
いずれも“震源が近いため被害が大きくなる”のが特徴です。
■② 30年以内の発生確率は70%
地震調査研究推進本部によると、
首都直下型地震の30年以内発生確率は70%前後 とされています。
- 発生は時間の問題
- 予兆はほぼゼロ
- 想定外の揺れが起こりうる
- 地震速報が間に合わない可能性もあり
“明日起きてもおかしくない地震”として扱われています。
■③ 予測される主な震源モデル
国は複数のパターンを想定しています。
- 都心南部直下地震 M7.3(最も警戒される)
- 多摩地域の断層地震
- 相模トラフ沿いのプレート境界地震
- 埼玉県南部の活断層地震
いずれも関東の広範囲を激しい揺れが襲う可能性があります。
■④ 想定される被害
中央防災会議の最新想定では、
最悪のケースで以下の被害が予測されています。
- 死者:約2万3千人
- 負傷者:約12万人
- 建物全壊:約61万棟
- 大火災の拡大(延焼面積:最大6,000ha)
- 帰宅困難者:約800万人
- 停電・断水:数週間規模
- 物流停滞・交通機能の麻痺
人口密集地域のため、火災被害が特に深刻です。
■⑤ 火災が最大の脅威
首都直下では、揺れそのものより 火災の危険性 が指摘されています。
- 古い木造密集地域が多数
- 倒壊により道路が塞がる
- 消火活動が困難
- 風の強い冬季に起きれば延焼拡大
- 都市ガス停止でライフライン損失
火災は“地震後数十分で急激に拡大する”ため、
避難の判断が命を分けます。
■⑥ 交通麻痺と帰宅困難者が大量発生
首都圏は交通が密集しており、影響は甚大です。
- 電車は広域で停止
- 道路は瓦礫と渋滞で通行不能
- 橋・高架の損傷でルート断絶
- 歩いて帰れない人が800万人
- 通勤者が孤立する可能性も大きい
事業所や学校単位での「一時待機」が重要になります。
■⑦ 企業活動・社会インフラが大きく損なわれる
首都直下地震は、
東京が担う役割を考えると“日本全体の機能が止まる”可能性があります。
- 政府機能の停止
- 企業本社機能の麻痺
- 金融システムの混乱
- 通信障害
- 医療・物流の負担増加
特に通信障害は、過去の災害でも深刻な問題になっています。
■⑧ 家庭でできる“首都直下対策”
首都直下は、都市災害に特化した備えが必要です。
- 家具固定(倒壊の主因)
- 7日分以上の備蓄
- 靴・ヘルメットをベッド近くに配置
- モバイルバッテリー複数用意
- トイレ対策(非常用トイレ)
- 火災の危険がある地域は避難を早めに
- 帰宅困難を想定した家族の連絡ルール
特に火災地域の方は “揺れた後すぐに避難する” 判断が命を守ります。
■まとめ|首都直下型地震は“最大級の都市災害”。備えが日本全体を守る
首都直下型地震は、
人口密集・木造密集・交通・火災・インフラなどあらゆる弱点が集中する、
日本で最も危険な都市災害です。
- 発生確率70%
- 揺れ+大火災の複合被害
- 帰宅困難者の大量発生
- 交通機能と社会基盤の大混乱
- 家庭・地域・企業の備えが必須
結論:
首都直下型地震は「いつ起きてもおかしくない巨大都市災害」。 防災士として、都市型災害に対応した備えを確実に進めてほしいと強く感じます。

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