「日本海側は地震が少ない」というイメージを持つ人は多いですが、
実際には “大規模地震が繰り返し発生してきた地域” であり、
今後も強い揺れや津波をもたらす危険性が指摘されています。
その震源域のひとつが 日本海東縁部(にほんかい とうえんぶ)。
北海道〜山陰にかけて広がる巨大な地震発生帯です。
ここでは、防災士として
日本海東縁部で想定される地震リスクと備えを分かりやすく解説します。
■① 日本海東縁部とは?
日本海東縁部とは、
日本海の東側(北海道〜新潟〜山陰付近)に広がる地震帯 のことです。
特徴は以下の通りです。
- 日本海プレートとユーラシアプレートの境界に位置
- 活断層が海底に多数存在
- 歴史的に大地震が繰り返し発生
- 津波を伴う地震が多い
- 陸地に近いため揺れが強い
“日本海側の巨大地震の中心” とされるエリアです。
■② 過去に何度も大地震が発生している
日本海東縁部では、以下のような大規模地震が起きています。
- 1983年 日本海中部地震(M7.7) → 津波が秋田・青森を襲い104人が死亡
- 1993年 北海道南西沖地震(M7.8) → 奥尻島で大津波・死者230名以上
- 1964年 新潟地震(M7.5) → 液状化・火災・建物倒壊で甚大な被害
いずれも津波と強震動を引き起こし、
日本海側の広い地域で甚大な被害が出ました。
■③ 30年以内にM7〜M8級の地震が発生する可能性
政府の地震調査研究推進本部は、
日本海東縁部を 「今後も大地震が起きる可能性が高い地域」 と位置付けています。
特に、
- 北海道西方沖
- 新潟県沖
- 秋田・山形沖
- 石川・富山沖
などの海域では、
M7〜M8級の地震が繰り返し発生する可能性 が示されています。
■④ 日本海側の津波は“到達が早い”
日本海東縁部の最も危険な点は、
津波の到達が異常に早いこと です。
- 最短で 数分〜10分以内
- 遠くても 20分前後
- 地震直後に突然襲う
- 海岸線が入り組んでいるため波が高くなる
東日本大震災のように「大きい揺れのあと数十分後」というパターンではありません。
日本海側は “揺れたらすぐ避難” が鉄則です。
■⑤ 揺れが強く、液状化や地盤被害も多い
日本海側の沿岸部は沖積地が広く、地盤が弱い地域も多いため、
- 液状化
- 建物の傾き
- 大規模火災
- ライフライン被害
などの二次災害が発生しやすいのも特徴です。
特に新潟地震の液状化は世界的にも有名で、
石油タンクの転倒や大規模火災が起きました。
■⑥ 都市機能・交通にも深刻な影響
日本海東縁部で大地震が発生すると、
- 北陸新幹線・JRの停止
- 高速道路の寸断
- 港湾の機能停止
- 工場・倉庫の被害
- 石油コンビナート火災
- 都市ガスの供給停止
など、地域の経済に大きな影響が出ます。
特に 冬季の大雪+停電+地震 の複合災害は最悪です。
■⑦ 日本海側で必要な“特有の備え”
太平洋側と比べて、日本海側の地震には特徴があります。
次の備えが重要です。
- 揺れた瞬間に高台へ逃げる「即時避難」
- 津波避難ルートを事前に把握
- 車での避難は原則NG(渋滞・雪で動けなくなる)
- 冬季は暖房・防寒の備えを手厚く
- 停電時の寒さ対策(カイロ・寝袋・断熱)
- 養生テープ・ポータブル電源の確保
- 集落単位での避難行動計画(特に高齢者)
- 津波避難タワーの位置確認
特に冬の停電は命に直結するため、
寒冷地ならではの対策が欠かせません。
■⑧ 観光地・海沿いの地域だからこそ“周知”が必要
日本海側は、
- 港町
- 温泉街
- 海水浴場
- 漁港
- 観光名所
などが多く、地元住民以外の人も多く滞在しています。
災害時に旅行者は避難判断が遅れやすいため、
地域での情報発信・避難誘導が重要です。
■まとめ|日本海東縁部は「地震と津波の複合災害」が起きやすい地域
日本海東縁部は、過去に何度も大規模地震が発生している危険帯です。
- M7〜M8の大地震が繰り返し起きる
- 津波の到達がとても早い
- 揺れと津波が同時に襲う
- 冬の地震は特に命の危険が増す
- 即時避難が最重要ポイント
結論:
日本海東縁部は「短時間で津波が襲う地域」。 防災士として、海沿いの地域ほど“揺れたらすぐ避難”を徹底してほしいと強く感じます。

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