千島海溝は、北海道の東沖から北方領土にかけて伸びる巨大なプレート境界です。
この海域では過去にM8〜M9クラスの地震が繰り返し発生しており、
今後30年以内に巨大地震が発生する可能性が極めて高い と政府も警戒を強めています。
ここでは、防災士として
千島海溝地震が起きた場合の特徴・被害想定・備えを分かりやすく解説します。
■① 千島海溝とは?
千島海溝(ちしまかいこう)は、
- 北海道東沖
- 国後島・択捉島付近
- カムチャッカ半島へ続く海溝
に広がる巨大なプレート境界です。
ここでは、
太平洋プレートがオホーツクプレートの下に沈み込むことにより
巨大地震が発生します。
南海トラフと並ぶ、日本最大級の地震発生帯と言われています。
■② M8〜M9級の“超巨大地震”が想定されている
政府の地震調査研究推進本部は、
千島海溝で発生しうる規模を以下のように評価しています。
- M8.0〜M8.8クラスの巨大地震
- さらに“連動型”では M9クラス の可能性もある
これは東日本大震災と同等、またはそれ以上の規模です。
北海道全域に強い揺れと津波が襲うことが懸念されています。
■③ 30年以内の発生確率は高い
最新の政府評価では、
「千島海溝沿いの地震は高確率で発生する」 とされています。
特に、
- 根室沖
- 釧路沖
- 十勝沖
は、過去にも繰り返し地震が起きており、
地震空白域となっている部分もあります。
研究者の間では「いつ起きても不思議ではない」と警戒されています。
■④ 最大の脅威は“巨大津波”
千島海溝地震の最大の被害は 津波 です。
- 津波高:最大 20〜30m以上
- 到達時間:最短10分以内(地域による)
- 広範囲に甚大な被害
- 冬季の津波は特に危険(低体温症)
- 沿岸部の集落は壊滅的被害の可能性
釧路・根室・十勝・オホーツク沿岸は、
「揺れたらすぐ逃げる」ことが生死を分けます。
■⑤ 北海道の“冬季地震”はさらに危険が高まる
北海道特有のリスクとして、
冬の深夜に大地震+津波 という最悪のシナリオがあります。
- 気温が氷点下
- 停電で暖房が使えない
- 暗闇で避難が困難
- 路面凍結で避難スピードが落ちる
- 高齢者の避難が大幅に遅れる
これらが津波避難をさらに難しくします。
■⑥ 広域での被害と長期化が予想される
千島海溝地震は広範囲に影響します。
- 北海道全域で停電
- 港湾機能の壊滅
- 道路・橋梁の破損
- 物流のストップ
- 大規模な避難生活
- 医療機関への負荷増大
特に港湾・漁港の被害は、
地域経済に深刻な影響をもたらします。
■⑦ 家庭で必要な“北海道型の備え”
北海道の寒冷地特有の備えが重要です。
- 気温0℃以下の「停電」を想定
- 断熱寝袋・毛布
- カイロ(大量)
- ポータブル電源
- カセットストーブ
- 水・食料は1〜2週間分
- 投光器・ランタン
- 長靴・防寒着
- 地域の津波避難場所の確認
- 避難時は“徒歩”が基本
特に「夜間・雪道・停電」の3つが重なると避難が極めて困難になります。
■⑧ 高台の確保と“水平避難”が命を守る
津波から身を守る方法は2つです。
- 垂直避難(避難ビル・高台へ)
- 水平避難(海からできるだけ遠ざかる)
北海道の海沿いには避難ビルが不足している地域もあるため、
“どこに逃げるか” を家族全員が事前に確認しておく必要があります。
■まとめ|千島海溝地震は北海道に甚大な津波と長期の停電をもたらす可能性がある
千島海溝は、日本でも最も大規模な地震が起きる地域のひとつです。
- M8〜M9級の巨大地震が想定
- 津波は最短10分で到達
- 冬季は避難がさらに困難
- 北海道全域で停電・物流麻痺の恐れ
- 事前の備えと避難計画が命を守る
結論:
千島海溝地震は「揺れた瞬間に津波が来る災害」。 防災士として、北海道沿岸地域ほど“即時避難”と“冬の停電対策”を徹底してほしいと強く感じます。

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