近年、日本では 大雨・集中豪雨・線状降水帯 が頻発し、
「昔と雨の降り方が違う」と多くの人が感じています。
実際に、気象庁のデータから見ても、
日本の降水量は 確実に増加傾向 にあり、
特に“短時間の激しい雨”は大幅に増えています。
ここでは、防災士として
日本の降水量の推移と、その背景・対策を分かりやすく解説します。
■① 年間の降水量は横ばいだが、雨の“降り方”が変化
日本の年間降水量は、
長期的には 大きく増加も減少もしていません。
しかし問題はそこではありません。
- 短時間で降る雨が増えている
- 1時間に50mm以上の大雨が増加
- 100mm級の雨も過去より増えている
- 降る場所が集中しやすい
つまり、日本は
“量”より“質”が危険になっている 国です。
■② 『1時間50mm以上の大雨』は40年前の約2倍
気象庁の統計によれば、
1時間50mm以上の激しい雨の発生回数は
40年前と比較して 約2倍に増加。
50mmの雨は、
- 車が冠水
- 浸水被害
- 土砂災害の危険急上昇
- 中小河川が数十分で危険水位
という“命に関わるレベル”です。
■③ 『1時間80mm以上の猛烈な雨』も増加中
80mm以上は、消防経験から言っても 災害級の雨 です。
これが全国的に増えており、
- 排水が追いつかない
- 道路冠水
- 斜面崩壊
- 河川氾濫
- 地下街・地下鉄の浸水
が短時間で起こるリスクが高まっています。
■④ 線状降水帯の発生回数が増えた
近年の大災害の多くは
線状降水帯 が原因です。
特徴は、
- 同じ地域に数時間〜半日降り続ける
- 土砂災害・河川氾濫を同時に起こす
- 夜間発生すると避難が難しい
九州北部豪雨、広島土砂災害、
令和の水害の多くがこのパターンです。
■⑤ “雨の降り方の変化”の背景にあるもの
日本の降水量の変化には、次の要因が関係しています。
- 海面水温の上昇
- 大気中の水蒸気量が増加
- 台風の大型化
- 梅雨の降り方が変質
- 温暖化による積乱雲の急発達
- 亜熱帯化の進行
結果として、
「短時間に集中的に降る雨」 が急増しているのです。
■⑥ 中小河川・都市部が特に危険に
増えたのは“都市型災害につながる雨”です。
- アスファルトで雨水が浸透しない
- 低地の住宅街に雨が集中する
- 排水能力を超える
- 中小河川が急激に増水
- 内水氾濫が短時間で発生
昔の経験で判断するのは危険です。
■⑦ 降水量の増加は“避難の早さ”を求める時代へ
降水量の変化は、
住民の避難行動にも影響しています。
- 避難情報を待つと遅い
- “危険な雨の予兆”で動く必要がある
- 夜間の豪雨は特に危険
- 高齢者・子どもは早めの避難が鉄則
- 「水が来てから」は確実に遅い
豪雨災害は、
気づいた瞬間が避難の限界点 です。
■⑧ 今すぐできる“豪雨時の行動ルール”
- 川・側溝を見に行かない
- 地下は絶対に使わない
- 車での移動は避ける
- ハザードマップを必ず確認
- スマホで雨雲レーダーを常にチェック
- 夜間の豪雨は“早めの避難”一択
- 避難所の場所を家族で共有
豪雨は、
予兆 → 数十分で危険化 するスピード災害です。
■まとめ|日本の“雨の時代”はすでに始まっている
日本では降水量の総量よりも、
“降り方”が大きく変化しています。
- 激しい雨の回数が増加
- 集中的に降る
- 線状降水帯が多発
- 中小河川・都市部で被害が拡大
- 昔の常識は通用しない時代へ
結論:
日本は「短時間豪雨が標準化した国」。 防災士として、雨の予兆段階で避難判断をする時代が来ていると強く感じます。

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