風水害が増える一方で、
被害が大きくなる背景にあるのが
「地域コミュニティの弱体化」 です。
昔は当たり前だった「近所の声かけ」「助け合い」が減り、
孤立した家庭や、災害に弱い世帯が増えています。
防災士として現場を見てきた経験から言うと、
助け合いの断絶は災害被害を何倍にも拡大させる大きな課題 です。
今回は、風水害対策の課題⑩
「地域コミュニティの弱体化」 について解説します。
■① 住民同士の関係が希薄になり、声かけが届かない
都市部だけでなく、地方でも
- 挨拶を交わさない
- 隣の人の名前を知らない
- 子どもの家庭を把握していない
- 高齢者の生活実態が分からない
という状態が増えています。
結果として、災害時に必要な
「声かけ避難」が行われない のが大きな課題です。
■② 高齢者や一人暮らし世帯の“孤立”が進んでいる
風水害で最も危険なのは、
避難が遅れやすい高齢者や一人暮らし世帯です。
- 足が悪い
- 情報が届かない
- 周囲に相談できない
- ヘルプを求める相手がいない
こうした世帯は、
助けが入らないまま被災してしまう可能性が高いのが現実です。
■③ 子育て世帯も“孤立化”が深刻
昔は近所同士で助け合いができましたが、
いまは子育て家庭も孤立しやすくなっています。
- 子どもが多くて避難しにくい
- 夜間は動けない
- ベビーカーや荷物が多い
- 二次避難先を頼める人がいない
こうした状況が風水害時の避難を困難にします。
■④ 近所づきあいの減少で“リスク情報”が共有されない
地域コミュニティが弱いと、
- どこの家が危険区域か
- 高齢者が住んでいる場所
- 土砂災害リスクのある家
- ハザードマップを理解できない人
など、地域内のリスク情報が共有されません。
「誰が危険なのか」が分からないため、
助けるべき人に手が届かない という問題が起きます。
■⑤ 自主防災組織や町内会の活動が低下
地域を守る重要な役割を持つ
- 自主防災組織
- 町内会
- 消防団
- 防災リーダー
これらの担い手不足が深刻です。
結果として、
- 避難誘導ができない
- 情報伝達が遅れる
- 炊き出し・物資配布が滞る
- 高齢者確認ができない
など、地域全体の防災力が弱まります。
■⑥ “外部支援に頼りすぎる”環境になっている
住民同士の助け合いが減ると、
- 行政
- 消防
- 自衛隊
- ボランティア
など、外部支援への依存が強くなります。
しかし実際の災害では
支援が到着するまで数時間〜数日 かかることが多く、
その間に被害が拡大してしまいます。
■⑦ 外国人住民とのコミュニケーションが不足
地域によっては外国人住民が増加していますが、
- 言語の壁
- 習慣の違い
- 情報へのアクセス不足
によって、災害時に孤立しやすくなっています。
近所づきあいが希薄な地域ほど、
外国人への支援が届きにくいのが現状です。
■⑧ 解決策は“ゆるい関係づくり”で十分
コミュニティづくりは大げさに考える必要はありません。
- あいさつ
- 見守り
- ゴミ出しの声かけ
- 高齢者宅へのひと声
- 子どもの登下校の見守り
- LINEグループの活用
こうした “ゆるいつながり” が
災害時に大きな力になります。
■まとめ|地域コミュニティは“最初の防災力”。弱体化は命のリスク
風水害対策の課題⑩
「地域コミュニティの弱体化」 は、
災害の被害を広げる大きな要因です。
- 声かけが届かない
- 高齢者が孤立
- 子育て家庭も孤立
- リスク情報の不共有
- 自主防災が機能しない
- 外部支援に依存
- 外国人が孤立
結論:
防災士として、地域の“ゆるいつながり”を増やすことは、どんなハザード対策にも勝る最強の防災行動だと強く感じています。

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