【防災士が解説】防災 × 災害後の情報格差|“知っている人だけが得をする”状態をなくすために

水害後には、
被災者が利用できる 支援制度・給付金・補助金 が多数用意されています。

しかし現場で何度も見るのは、

「制度を知らず、手続きを知らず、支援を受けられない人が多すぎる」
という深刻な情報格差の問題です。

特に高齢者・外国人・情報弱者ほど
“本来受けられるはずの支援”から取り残されています。

今回は防災士として、
風水害対策の課題⑱:災害後の情報格差による支援アクセスの不平等
を解説します。


■① 災害支援制度が“複雑すぎる”

災害後の支援制度は種類が多く、内容も複雑です。

  • 罹災証明書
  • 被災者生活再建支援金
  • 災害弔慰金
  • 災害援護資金
  • 住宅再建・補修の補助
  • 生活支援物資
  • ボランティア支援
  • 医療費・介護費の減免

一見すると「何が何なのか分からない」状態です。


■② 罹災証明書を申請しない人が多い

罹災証明書は支援を受けるための“命綱”ですが、
多くの住民が申請していません。

原因は、

  • そもそも制度を知らない
  • 申請方法を知らない
  • 役所まで行けない
  • 家族がいなくて相談できない

など、情報不足・行動困難が大きな理由です。


■③ 情報が高齢者・外国人に届かない

行政の情報発信は主にデジタル中心ですが、

  • 高齢者はネットが苦手
  • 外国人には言語の壁
  • 文字が小さく読めない
  • 専門用語が理解できない

そのため、
必要な支援情報が届かない層が多数存在します。


■④ SNSには“誤情報”“古い情報”が多く混在する

整理されていない情報がSNSで拡散され、

  • 誤った金額
  • すでに終了した制度
  • 別の自治体の制度
  • デマ情報

が混在し、住民が混乱します。

正しい支援にたどり着けない原因になります。


■⑤ 手続きが難しく、断念してしまう人がいる

支援を申請しようとしても、

  • 必要書類が多い
  • 手続きが複雑
  • 申請窓口が混雑
  • 説明が難しい
  • メールやWEB申請ができない

などの理由で、
途中で諦めてしまう住民が少なくありません。


■⑥ 家屋調査の遅れ・誤分類が“支援額の差”につながる

罹災証明は家屋の被害認定が基準になりますが、

  • 調査が遅れる
  • 担当者の経験差
  • 写真の撮影不足
  • 判定が「準半壊」に留まる

など、
“判定の違い=受けられる支援の額の違い”
が生まれてしまいます。


■⑦ 行政の情報発信が記録されない・見直せない

災害後の情報は、

  • 行政放送
  • チラシ
  • SNS
  • ホームページ

に分散して発信されますが、
住民がまとめて確認できる仕組みが足りません。


■⑧ 解決策は「ワンストップ情報」と「支援の翻訳」

住民が混乱しないために必要なのは、

  • 情報をひとつにまとめる
  • 申請方法を“簡単な言葉”に翻訳する
  • 高齢者には対面サポート
  • 外国人には多言語対応
  • LINE・チラシ・SNSを併用
  • 必要書類チェックリストの提供
  • 行政だけでなく地域も支援

地域で「情報の橋渡し役」がいるだけで、
支援につながる住民は大幅に増えます。


■まとめ|“情報を受け取れる人だけが支援を受ける”状態をなくすことが防災

風水害対策の課題⑱
「災害後の情報格差で支援が受けられない人が出る」 は、
生活再建を妨げる大きな問題です。

  • 制度が複雑
  • 罹災証明が取れていない
  • 高齢者・外国人が情報から取り残される
  • SNSの誤情報が混乱を招く
  • 手続きが難しすぎる
  • 判定の差で支援額が変わる

結論:
防災士として、災害後の“情報の翻訳役”が地域にいることは命と生活を支える重要な防災。支援情報を正しく届けることが、被災後の最初の一歩になります。

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