日本は世界有数の地震大国であり、
毎年のように震度5以上の地震が発生し、
巨大地震のリスクも複数地域に存在しています。
しかし、防災士として現場を見てきた立場から言うと、
「地震対策は分かっているのに実行されていない」
という深刻な課題が今も残っています。
今回は、日本の地震対策における“根本課題”を整理します。
■① 耐震化が進まない住宅・建物が多い
地震対策の基本は建物の耐震化ですが、
- 昭和56年以前の“旧耐震基準”の家
- 補強されていない古いブロック塀
- 耐震診断を受けていない公共施設
- 老朽化したアパートや店舗
など、危険な建物が全国に残されています。
理由は、
- 費用がかかる
- 優先順位が低い
- 「うちは大丈夫」という感覚
が大半です。
■② 家具の固定が進んでおらず、室内が最も危険
地震の死傷者の多くは、
倒れた家具・落下物によるケガ です。
しかし現場では、
- 冷蔵庫が固定されていない
- 本棚が無固定のまま
- テレビが揺れで飛ぶ
- 食器棚のロックなし
- ベッド付近に落下物多数
など、家庭内のリスクが非常に多く残っています。
■③ 自助・共助の準備格差が大きい
避難・備蓄については地域や家庭で差が大きく、
- 備蓄ゼロの世帯
- 避難所の場所を知らない
- 災害弱者への支援計画が未整備
- 家族で避難行動の話し合いゼロ
といった問題があり、
地震後の行動がとれない住民が多くいます。
■④ 大都市の“人口密集地域”が特に脆弱
東京・大阪・名古屋など大都市では、
- 狭い道路
- 木造密集地区
- 老朽化したインフラ
- 消防車が入れない路地
といった条件が揃い、
火災延焼・倒壊・孤立 のリスクが非常に高くなっています。
■⑤ 地震後の“情報混乱”が毎回発生している
SNSの発達で情報伝達は早くなった一方、
- 誤情報の拡散
- デマ(津波・交通・被害)
- 公式発表より早い誤報
- 無関係動画の拡散
など、地震直後の混乱が大きな課題になっています。
■⑥ 要配慮者支援体制が十分ではない
高齢者、障がい者、乳幼児、外国人など
“地震時に行動が難しい人”へのサポート体制が
- 地域によって差が大きい
- 担い手不足
- 個別計画が進まない
- 情報が届きにくい
という課題を抱えています。
■⑦ 避難所運営の課題(トイレ・プライバシー・物資)
避難所は安全の最終ラインですが、
- トイレ不足
- プライバシーの欠如
- 食料・水の不足
- ペット避難ルールが未整備
- 人手不足の運営体制
など、改善すべき点が多く残されています。
■⑧ “地震後の生活再建”が遅れる
地震後には、
- 罹災証明書の申請
- 修繕業者の不足
- 応急危険度判定の遅れ
- 行政手続きの集中
- 保険金が遅い
など、生活を立て直せない住民が多数発生します。
■まとめ|日本の地震対策は“知っているのにやれていない”が最大の課題
地震対策の課題の本質は、
「危険だと分かっているのに、行動に移せていないこと」
ここに尽きます。
- 耐震化の遅れ
- 家具固定不足
- 避難行動の共有不足
- 情報格差
- 要配慮者への支援不足
- 避難所課題
- 生活再建の遅れ
結論:
防災士として、地震対策は“命を守る行動をどれだけ事前に実行できるか”がすべて。知識から行動に変えることが防災の核心です。

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