地震は「いつ・どこで」発生するか分かりません。
だからこそ大切なのが 自助(自分の命は自分で守る) と
共助(地域で助け合う) の力です。
しかし現場で住民と関わってきた防災士として強く感じるのは、
「家庭や地域による準備格差があまりにも大きい」 という現実です。
地震後の行動力は、
地震前の準備でほぼ決まります。
今回は、地震対策の課題③
「自助・共助の準備格差」 について解説します。
■① 備蓄ゼロの家庭と、1週間備蓄の家庭の差は“生死レベル”
地震後は、
物流停止・停電・断水・ガス停止 が起こり、
- 水がない
- 食料がない
- トイレが使えない
- 家電が動かない
- 情報が受け取れない
という家庭が多数発生します。
反対に1週間備蓄がある家庭は、
ほぼパニックを起こしません。
同じ地震に遭っても、
準備格差が“生活の差”として現れます。
■② 避難行動について家族で話し合っていない家庭が多い
地震直後は一瞬で判断が必要ですが、
- 「どこに集合する?」
- 「地震が起きたらまず何をする?」
- 「子どもはどう動く?」
- 「高齢の家族は誰がサポートする?」
- 「スマホが繋がらない時の連絡は?」
これらを家族で決めている家庭は少数です。
話し合いの有無で、
地震後の行動スピードがまったく違います。
■③ 要配慮者を守る“個別支援計画”が進んでいない
地域には、
- 高齢者
- 障がいのある方
- 乳幼児
- 妊婦
- 外国人
など、避難が難しい人が多く住んでいます。
しかし、
- 誰が手伝うか
- どのルートで避難するか
- どの避難所に行くか
- 情報をどう伝えるか
こうした計画がない地域がまだ多数です。
■④ 町内会・自主防災組織の活動に差がある
地域によって、
防災力には“圧倒的な差”があります。
強い地域は、
- 定期的な避難訓練
- 要配慮者名簿の整備
- 安否確認システム
- 消火器訓練
- 防災資機材の管理
を行っています。
弱い地域は、
- 活動なし
- 訓練なし
- 名簿なし
- 役員不足
- 情報共有もなし
という状態で、
地震後に混乱が生じます。
■⑤ 情報取得力に大きな差がある
災害時は 正しい情報を早く得た人 が助かりやすいです。
しかし現実には、
- SNSだけを頼る人
- デマを信じてしまう人
- 行政情報の受け取り方がわからない人
- 日本語が苦手な外国人
など、情報格差が命の格差につながります。
■⑥ 共助が機能しない地域は、地震後に被害が拡大する
地震後に助かる人の多くは、
- 家族
- 近所
- 地域の仲間
によって助けられます。
しかし、
- 「近所付き合いがなさすぎる」
- 「助ける側の高齢化」
- 「役割分担が曖昧」
- 「孤立する世帯が増加」
などの理由で共助が機能しない地域が増えています。
■⑦ 自助と共助の格差は“地域防災力の格差”になる
地震対策は、
国や行政だけでなく、家庭と地域の準備で大きく変わります。
- 備蓄の有無
- 家族の話し合いの有無
- 地域の結束力
- 防災訓練の有無
- 支援体制の有無
これらがそのまま地域の強さになります。
■⑧ 「できる家庭」から始めれば、地域全体が強くなる
地震対策は全員が完璧である必要はありません。
まずは“準備している家庭”が増えるだけで地域が強くなります。
- 備蓄を始める
- 家族で話し合う
- 防災アプリを入れる
- 町内会の行事に1回参加する
- 隣のお年寄りに声をかける
これらは全て、
地域の防災力につながります。
■まとめ|自助・共助の準備格差が“命の格差”になる
地震対策の課題③
「自助と共助の準備格差」 は、
日本の地震対策の根本にある問題です。
- 家庭の備蓄格差
- 家族の話し合い格差
- 情報取得格差
- 地域の防災力の格差
- 要配慮者支援の格差
結論:
防災士として、“家庭と地域の準備格差を埋めること”こそ、地震から命を守る最重要ポイントです。知識を行動に変えることが防災の核心です。

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