大きな地震が起こると、
揺れより先に人を混乱させるものがあります。
それは 「情報」 です。
防災士として多数の災害現場に関わってきましたが、
毎回のように感じるのは、
「地震後の情報混乱こそ、被害を拡大させる最大の要因」
ということです。
地震そのものより、
“誤った判断” による二次被害が多く発生します。
今回は、地震対策の課題⑤
「地震後の情報混乱」 を解説します。
■① SNSで誤情報が一気に拡散する
地震直後はSNSが最も早い情報源になります。
しかし同時に、
- ガセの津波情報
- 無関係の過去動画が拡散
- 偽の「行政発表」画像
- AI生成の誤情報
- 根拠のない予言・デマ
など、誤った内容も同時に広がります。
デマは“スピードが速い”ため、
正しい情報が追いつかないことがあります。
■② 通信障害で“正しい情報”にたどり着けない
地震直後は通信が混雑し、
- スマホが繋がらない
- 行政サイトが落ちる
- アプリが開かない
- SNSが更新できない
という状況が必ず起きます。
結果として、
自分がどんな状況なのか分からないまま過ごす
人が多くなります。
■③ 「音声ガイドの誤解」や「誤った避難」で混乱が拡大
災害時はアナウンスの一言一言が重要ですが、
- “緊急地震速報=避難を始める合図”と思い込む
- “揺れが止まった直後に外へ走り出す”
- “津波の範囲を勘違いする”
といった誤解が多く、
二次被害につながります。
■④ 行政の情報が“住民に届かない”
行政は正しい情報を出していますが、
全ての住民が受け取れるとは限りません。
- 高齢者
- 外国人
- 障がいのある方
- 文字が読みにくい方
- 日本語が苦手な方
こうした層に、情報が届かない現実があります。
■⑤ フェイク画像・フェイク動画が信じられやすい
最近では、
- 過去の災害動画
- 海外の災害映像
- AIで作られたフェイク動画
- 無関係な画像
が「今起きている地震の映像」として拡散します。
視覚情報は信じやすいため、
大きな混乱を生みます。
■⑥ 正しい情報とデマを“見分ける訓練”が不足
平時から、
- 正しい情報源はどこか
- どのアプリを使うか
- デマの特徴は何か
こうした知識や行動が共有されていないため、
地震後に混乱しやすくなります。
■⑦ 情報混乱で“避難が遅れる”ことが最大の問題
情報混乱の一番の問題は、
避難行動が遅れること です。
- 津波避難の遅れ
- 火災からの避難遅れ
- 子どもの迎えが遅れる
- 水や食料の確保が遅れる
- 避難所開設状況が分からない
この「判断の遅れ」は命に直結します。
■⑧ 正しく情報を受け取るための備えが必要
地震に備えるには、
“道具” と “知識” の両方が必要です。
◎道具の準備
- 防災アプリ
- ラジオ(手回し・電池式)
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 予備電池
◎知識の準備
- 情報の優先順位
- デマの特徴
- SNSの取扱い方
- 正しい情報源(気象庁・自治体等)を登録
- 家族で情報共有のルールを作る
“正しい情報にアクセスできる力”は、
命を守る力そのものです。
■まとめ|地震後の混乱を防ぐのは“情報の選び方”
地震対策の課題⑤
「地震後の情報混乱」 は、
デマと誤情報が命を脅かす重大課題です。
- SNSは誤情報が高速拡散
- 通信障害で行政情報が届かない
- 音声ガイドの誤解
- フェイク動画の増加
- 情報源の見極め不足
- 避難判断が遅れる
結論:
防災士として、“情報を選ぶ力”は防災の技術のひとつ。正確な情報で行動し、命を守る判断力を備えることが最重要です。

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