【防災士が解説】防災 × 避難所運営の課題|“命は助かったのに苦しむ人を生まないために必要なこと”

大きな地震が起きると、多くの人が避難所に集まります。
しかし現場を経験してきた防災士として強く感じるのは、

「避難所は安全な場所だが、快適な場所ではない」
という残酷な現実です。

避難所は命をつなぐ最終ラインですが、
そこには多くの課題が残っています。

今回は、地震対策の課題⑦
「避難所運営の課題」 を解説します。


■① トイレ不足は“避難所最大のストレス”

地震で避難所が開設されても、
トイレはすぐに限界を迎えます。

  • 水が流れない
  • 長蛇の列
  • 汚れが放置される
  • 不衛生で感染症が拡大
  • 夜間利用が危険

特に、高齢者・子ども・女性には負担が大きく、
「トイレを我慢して脱水症状になる」ケースもあります。


■② プライバシーがなく“心の負担”が大きい

避難所は体育館などの大空間が多く、
仕切りがほとんどありません。

  • 着替えられない
  • 赤ちゃんや子どもの泣き声
  • 隣と数十センチの距離
  • 夫婦・家族でも別室にされる
  • 女性が安心できない

この環境は、
精神的ストレスを大きくします。


■③ 物資が届かない・偏る問題

地震後は物流が止まるため、

  • 食料が不足
  • 毛布が足りない
  • 水の配布が遅い
  • アレルギー対応食なし
  • 子ども用品が不足
  • ペット用品がない

という問題が次々と発生します。

また、
“同じ避難所ばかりに支援が集中する” 偏りも課題です。


■④ 運営人員が不足し、自治・管理が回らない

避難所運営は本来、

  • 職員
  • ボランティア
  • 自主防災組織
  • 住民

が協力して行いますが、
大地震では人手が圧倒的に不足します。

  • 受付
  • 物資管理
  • トイレ清掃
  • 高齢者支援
  • 情報掲示
  • 夜間の安全管理

これらを少人数で行うため、
“避難所が回らなくなる” 状況が起きます。


■⑤ ペット受け入れが十分に整っていない

ペットを家族同然と考える人が多いものの、

  • 同室不可
  • 避難スペースが狭い
  • 鳴き声問題
  • アレルギー対応
  • ケージ不足

など、
ペット同行避難は課題だらけです。

結果、
「避難所に行けない」家庭も少なくありません。


■⑥ 高齢者・障がい者のケアが追いつかない

避難所は“人手が必要な場所”ですが、
支援が追いつかないことがあります。

  • 歩行介助
  • トイレ介助
  • 医療・薬の確保
  • 介護スペース不足
  • バリアフリーが不十分

サポートが必要な人ほど、
避難所でストレスを抱えやすくなります。


■⑦ 感染症が広がりやすい環境

避難所は“密閉・密集・密接”の典型。

  • 風邪
  • インフルエンザ
  • ノロウイルス
  • 新型感染症

これらが一気に広がる可能性があります。

手洗い場や消毒が不足すると、
集団感染のリスクが高まります。


■⑧ 地域差が極端に大きい

避難所の質には地域差があり、

  • 広くて快適な避難所
  • 劣悪で不衛生な避難所

どちらも存在します。

この“格差”は地震後の生活の質に直結します。


■まとめ|避難所運営は“地域で備える”ことが最も大切

地震対策の課題⑦
「避難所運営の課題」 は、
災害後の生活を大きく左右する問題です。

  • トイレが不足する
  • プライバシーが保てない
  • 物資が偏る
  • 運営人員が足りない
  • ペット対応不足
  • 要配慮者の支援が遅れる
  • 感染症リスクが高い

結論:
防災士として、避難所を“住む場所ではなく命をつなぐ場所”と理解し、地域で役割分担と物資準備を進めることが最も重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました