地震が起きたとき、
命を守るうえで最も大切なのは “避難の判断スピード” です。
しかし防災士として現場を見てきた経験から言うと、
「迷い・誤解・情報不足」によって避難が遅れ、 助かるはずの命が失われている
という深刻な課題があります。
今回は、地震対策の課題⑩
「避難行動・判断の遅れ」 を解説します。
■① “地震直後の行動”を知らない人が多い
地震時に命を守る行動は決まっています。
- まず身を守る(DROP・COVER・HOLD)
- 揺れが収まったら火元確認
- 津波のおそれがある地域はすぐ避難
- 家具転倒の有無を確認
- 家族と連絡・集合場所へ向かう
しかし実際には、
- 頭が真っ白になる
- とにかく外へ飛び出す
- 家の中でパニックになる
など、誤った行動が多く見られます。
■② 津波避難が“想像以上に遅い”
津波災害では、
避難が数分遅れただけで命を落とすことがあります。
しかし現場調査では、
- 車で逃げる人が多い
- 荷物をまとめてから避難
- 家族を探して時間を使う
- 「今回は大丈夫」と思い込む
- 過去の経験に頼る
など、
避難開始が遅れる原因 が多数見られます。
南海トラフ地震が起きれば、
最短 数分で津波が到達 する地域があるため、
判断の遅れは致命的です。
■③ 避難指示の意味が分からない
行政の避難情報には、
- 緊急安全確保
- 避難指示
- 高齢者等避難
などがありますが、
住民の多くが“意味を正しく理解していません”。
地震後の混乱の中で、
判断に迷う人が多くなります。
■④ 夜間の地震は“避難開始がさらに遅い”
夜間は、
- 停電で真っ暗
- 家の外の状況が分からない
- 家族の安否確認に時間がかかる
- 道路が危険
- 津波や火災の発見が遅れる
これらが重なり、
避難行動が遅れがちです。
■⑤ 高齢者・障がい者は避難に時間がかかる
避難に時間がかかる人が多い地域ほど、
“早めの判断” が必要です。
- 歩行が遅い
- 介助が必要
- 段差が越えられない
- 連絡してから動く
こうした状況では、
地震後すぐに動き始めなければ逃げ遅れてしまいます。
■⑥ 情報不足で判断できない
避難の判断が遅れる原因には、
“情報が届かない” こともあります。
- スマホが繋がらない
- 正しい情報を知らない
- SNSでデマが流れる
- 行政放送が聞こえない
- 避難経路を知らない
これらが“迷い”を生み、
避難が遅れます。
■⑦ 「危機感の薄さ」が最大の課題
住民の意識調査では、
- 「自分は大丈夫」と思っている
- 「ここまでは津波は来ない」
- 「家は倒れない」
- 「避難は必要ない」
という“根拠のない安心感”が
避難を遅らせる最大の原因です。
■⑧ 避難判断を早めるには“準備と仕組み”が必要
避難の判断は感覚で行うのではなく、
仕組みで早くする ことが重要です。
◎家庭でできること
- 家族で避難のルールを決めておく
- 津波発生時の行動を話し合う
- 近くの高台・避難ビルを確認
- 夜間避難用ライトを準備
- 荷物を最小限にする
◎地域でできること
- 避難訓練
- 要配慮者支援体制の整備
- 津波避難計画の共有
- 情報伝達の強化
“迷いをなくす準備” が避難行動を早めます。
■まとめ|避難の遅れは“防げる死”を生む。行動の速さが命を守る鍵
地震対策の課題⑩
「避難行動・判断の遅れ」 は、
地震時の死者を減らすために最も重要な課題です。
- 地震直後の行動を知らない
- 津波避難が遅い
- 夜間避難の困難さ
- 情報不足
- 要配慮者の行動遅れ
- 危機感の欠如
結論:
防災士として、“避難を早くする仕組みづくり”こそが命を守る最強の地震対策。行動の速さで未来が変わります。

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