地震や津波から命を守るためには、
「適切な避難情報が素早く届くこと」 が絶対条件です。
しかし現場を経験してきた立場として、
地震対策の課題⑪
「避難情報が住民に届かない」
という問題は、毎回の災害で必ず浮き彫りになっています。
情報が届かないだけで、
逃げ遅れ・判断遅れが生じ、
本来守れた命が失われることもあります。
今回は、この“伝達の壁”を深掘りして解説します。
■① 災害時はスマホが使えない可能性が高い
地震直後は、
- 通信障害
- 回線混雑
- 停電
- 基地局の破損
により、スマホが繋がらなくなることが多くあります。
そのため、
- LINE
- SNS
- アプリ通知
などの“普段頼っている情報”が全く届かない状況が起きます。
■② 行政放送が聞こえない地域が多い
防災行政無線は有効な仕組みですが、
- 家の中だと聞こえにくい
- 気密性の高い住宅は音が届かない
- 雨・風・地形で音が乱れる
- 高齢者が放送に気づかない
など、伝達の抜け漏れが発生します。
特に夜間は聞き逃しが多く、逃げ遅れの原因に。
■③ 外国人観光客・住民に情報が届かない
近年問題になっているのが、
- 言語が分からない
- 漢字が読めない
- アナウンスが理解できない
というケース。
避難情報がわかりにくいと、
適切な行動が取れず命の危険につながります。
■④ 高齢者・障がい者・要支援者に届きにくい
要配慮者は、
- 情報機器を持っていない
- 音声放送に気づかない
- 歩行が遅く、避難に時間が必要
といった事情があり、
情報の遅れが命に直結します。
■⑤ “どの情報を信じたらいいか”分からない
災害時は情報量が多すぎて、
- SNSでデマが拡散
- 不確実な噂
- 誤情報を信じて行動
- 誰の指示が正しいか不明
という“情報混乱”が起こります。
結果、避難の判断が遅れてしまいます。
■⑥ 夜間の避難情報が特に届きにくい
夜間は、
- 寝ていて気づかない
- スマホの通知音が弱い
- 停電で情報収集できない
- 外のアナウンスが聞こえない
といった理由で、
情報伝達に大きな遅れが生じます。
■⑦ 情報を受け取っても“意味が分からない”
避難情報には段階があります。
- 高齢者等避難
- 避難指示
- 緊急安全確保
しかし住民の多くは、
「結局、いつ避難すればいいの?」
という状態になっています。
意味が理解できなければ行動は遅れます。
■⑧ 情報伝達を強化するには“多重化”が必須
ひとつの手段に頼ってはいけません。
◎複数の伝達手段を使う
- 防災アプリ
- 緊急速報メール
- テレビ・ラジオ
- 防災行政無線
- SNS
- 町内会の連絡網
- 公共施設の電光掲示
◎地域の工夫が重要
- 見回り隊
- 声かけ支援
- 屋内スピーカー設置
- 誰でも分かる表現に統一
- 多言語表示
情報は「届く仕組みを積み重ねる」ことが鍵です。
■まとめ|情報が届かなければ避難できない。“伝える力”が命を守る
地震対策の課題⑪
「避難情報が住民に届かない問題」 は、
命を守るうえで軽視できない大きな課題です。
- スマホが繋がらない
- 行政放送が聞こえない
- 外国人や高齢者への情報不足
- 夜間の伝達遅れ
- デマ情報の氾濫
- 情報の意味が分からない
結論:
防災士として、避難情報は“多重的に届けて当たり前”。情報こそ命を守る最初の防護壁です。

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