地震による死者の多くは、
建物の倒壊 によって発生します。
それにもかかわらず、
日本ではいまだに 耐震化が進んでいない住宅 が多数残っています。
防災士として現場を見てきた実感としても、
「倒壊しなければ助かっていた命」が本当に多いのです。
今回は、地震対策の課題12
“耐震化が進まない現状” を深掘りします。
■① 耐震基準を満たさない“古い住宅”がまだ多い
1981年に新耐震基準が導入されましたが、
それ以前の建物(旧耐震)は地震に弱く、倒壊リスクが高いままです。
しかし現状では、
- 古い木造住宅
- 劣化した家屋
- 地盤調査が不十分な住宅
- 空き家
などが大きな割合を占めています。
“古いから危ない”と知りつつも、
放置されているケースが多いのが実情です。
■② 耐震改修に“お金がかかる”ことが最大のハードル
耐震化が進まない理由のトップはコレです。
- 100万円〜200万円以上
- 基礎補強はさらに高額
- リフォームと同時でさらに費用が膨らむ
経済的負担が大きく、
「必要なのは分かっているが手をつけられない」
という家庭が多いのです。
■③ 効果が見えにくく、優先順位が下がりやすい
耐震化は“もしも”のための投資です。
- 目に見える効果がない
- 他の出費に押される
- 家族から理解を得にくい
- 「自分の家は大丈夫」という思い込み
こうした心理的要因で、
耐震化が後回しにされてしまいます。
■④ 空き家・老朽家屋が災害時の危険を増幅させる
耐震化が進まない中で特に問題なのが空き家。
- 倒壊して道路を塞ぐ
- 消防・救急の進入を阻む
- 隣家に被害を与える
- 津波避難路の妨げになる
地域全体のリスクを押し上げる存在です。
■⑤ 耐震診断の仕組みが十分に活用されていない
耐震診断を受ければ、
- 家の弱点
- 補強すべきポイント
- 費用の目安
- 改修優先度
が分かります。
しかし、
- 診断の存在を知らない
- 費用負担を避ける
- 手続きが面倒に感じる
などで、診断自体が進んでいないのが現状です。
■⑥ 補助金制度を住民が“知らない”
自治体には耐震化の補助が多くありますが、
- 制度を知らない
- 手続きが難しく感じる
- 時期を逃してしまう
といった理由で活用率が低い自治体もあります。
■⑦ 大規模地震では“倒壊家屋が避難行動の妨げ”になる
家が倒れると、
- 道路が塞がる
- 車が通れない
- 救助隊が入れない
- 近隣の住民も避難できない
といった“二次的な被害”を生みます。
耐震化は、
自分のためだけでなく、地域全体の安全のためでもある のです。
■⑧ 住民意識の向上と行政支援の拡大が鍵
耐震化を進めるためには、
個人努力だけでは難しいのが現実です。
◎住民ができること
- 耐震診断を受ける
- 補助金制度を確認する
- 家族でリフォーム計画を共有
- 地盤情報を調べる
◎行政・地域ができること
- 無料/低額の診断実施
- 耐震化の補助拡大
- 空き家対策の強化
- 分かりやすい広報
- 相談窓口の充実
耐震化は“公助・自助の両輪”で進める必要があります。
■まとめ|耐震化は命を守る最強の対策。“倒れない家”こそ最大の備え
地震対策の課題12
「耐震化が進まない問題」 は、
地震被害を最小限に抑えるために最も重要な課題のひとつです。
- 古い住宅が多い
- 費用負担が大きい
- 優先順位が低くなる
- 空き家の危険性
- 診断が進まない
- 補助金制度が知られていない
結論:
防災士として、“倒れない家づくり”こそ最大の防災。耐震化は命を守る最強の投資です。

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