学校は、地震発生時に
大量の子どもが集まっている場所 です。
命を守るべき施設である一方、
実際には「課題の宝庫」と言えるほど
リスクが多いのが現実です。
防災士として、また教育現場を支える立場として見てきた経験から、
学校の地震対策は“まだまだ改善余地が多い分野”です。
今回は、地震対策の課題15
「学校での課題とリスク」 を整理します。
■① 古い校舎・体育館の耐震化が不十分
学校施設には、
- 老朽化した校舎
- 大規模な体育館
- プール施設
- 特別教室(理科室・美術室など)
が多く、耐震化が遅れている施設もあります。
特に体育館の倒壊リスクは高く、
避難所として使う場所が危険という矛盾も生まれます。
■② 非構造部材(天井・照明・窓ガラス)が最も危険
学校で実際に大けがにつながるのは、
建物そのものより 非構造部材の落下 です。
- 天井材の落下
- 吊り下げ照明の落下
- ガラスの飛散
- スピーカー・掲示物の落下
- 器具庫の棚の転倒
特に体育館の天井落下は全国で問題になっています。
■③ 教室内の家具転倒対策が不十分
地震時に危険となるのは、
- 本棚
- ロッカー
- 教卓
- ピアノ
- 理科室の薬品棚
などです。
学校は物が多く、
家具固定が十分でないケースがいまだに存在します。
■④ 子どもたちの避難行動に“ばらつき”がある
子どもは年齢によって行動が変わります。
- 幼児はパニックを起こしやすい
- 小学生は指示待ちになりやすい
- 中高生は自己判断で動きがち
- 障がいのある児童は個別支援が必要
そのため、
一律の避難行動では対応しきれない という問題があります。
■⑤ 教員の負担が極端に大きい
地震発生時、教職員は同時に次の役割を担います。
- 児童生徒の身を守る
- 点呼・安否確認
- 校舎の安全確認
- 周囲の危険排除
- 保護者対応
- 避難誘導
- 情報収集
一人に任せられる量ではないため、
教員不足の学校ほどリスクが高くなります。
■⑥ 保護者が“学校へ来てしまう”問題
大地震が起きると、
- 車で学校へ急行
- 校門前で渋滞
- 避難経路が塞がれる
という“逆効果”が起きることがあります。
保護者が安全を心配する気持ちは当然ですが、
学校への突発的アクセス集中は大きなリスクです。
■⑦ 避難所運営と学校運営が重なる
学校は地域の避難所にもなるため、
- 生徒の安全確保
- 住民の受け入れ
- 物資管理
- 校舎維持
- トイレ管理
- 情報伝達
と、多くの仕事が 学校と避難所で二重に発生 します。
教員だけでは対応しきれないほどの負担です。
■⑧ 学校の防災教育が均一ではない
防災教育は学校によって温度差が大きく、
- 年に1回だけの避難訓練
- 津波避難の実践が少ない
- 子どもが“意味を理解していない”
- 対応が形式的になっている
など、質の課題が指摘されています。
■まとめ|学校は“地域の要”。安全の底上げが子どもを守り、地域を守る
地震対策の課題15
「学校における課題とリスク」 は、
子どもの命を守るために見逃してはならない重要なテーマです。
- 耐震化の遅れ
- 非構造部材の危険
- 教室内の家具転倒リスク
- 子どもの行動特性
- 教員負担の増加
- 保護者の過度な来校
- 避難所との重複運営
- 防災教育の温度差
結論:
防災士として、学校の安全対策は“地域全体を守る中核”。子どもを守ることは未来を守ることに直結します。

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