日本には今、
観光・留学・技能実習・就労など、
さまざまな目的で多くの外国人が生活しています。
しかし、地震大国であるにもかかわらず、
外国人への防災情報や避難支援が十分でない
という深刻な課題があります。
防災士として現場を見てきた経験からも、
“言葉が理解できないことで命を落とす可能性がある” という現状は見過ごせません。
今回は、地震対策の課題20
「外国人への防災支援の弱さ」 を深掘りします。
■① 日本語での避難情報が理解できない
避難情報は多くが日本語で発信されます。
- 防災行政無線
- 緊急速報メール
- ラジオ・テレビ
- 町内アナウンス
しかし外国人の多くは、
- 日本語が読めない
- 漢字が分からない
- 音声が理解できない
という状況にあり、
命に関わる情報が届いていません。
■② 避難行動が“文化的にイメージできない”
地震に馴染みのない国から来た人は、
- 家具が倒れるリスク
- 津波の怖さ
- 避難所の仕組み
- 避難のタイミング
などが想像できません。
「これくらいの揺れなら大丈夫」
と誤って判断してしまうケースも多いです。
■③ 避難所のルールや仕組みが分からない
避難所には独自のルールがありますが、
外国人には非常に分かりにくい構造です。
- 受付方法が不明
- プライバシールールが違う
- トイレ・食料・水の扱いが分からない
- 文化・宗教的な配慮不足
不安やストレスから避難所に入らず、
危険な場所に留まってしまうケースがあります。
■④ 観光客は土地勘がなく避難経路が分からない
観光客にとって、地震は予期しない出来事。
- 最寄りの避難所が分からない
- 海の近くでも津波を想像できない
- 周囲の人の行動を真似できない
“どこへ逃げればいいのか” が分からなければ、
安全行動が取れないのは当然です。
■⑤ 技能実習生・単身労働者の孤立
外国人の中でも特に守りが必要なのが、
- 技能実習生
- 単身労働者
- 建設・工場勤務者
などの、地域と接点が少ない層です。
- 情報が届かない
- 日本人と交流がない
- 相談相手がいない
という孤立状態が、災害時に命の危険を高めます。
■⑥ SNSのデマ情報に振り回されやすい
言語が不十分な場合、
- 誤訳された情報
- SNSのデマ
- 非公式な噂
に影響されやすく、
誤った避難行動につながるケースが多いです。
■⑦ 多言語対応が地域によってバラつきがある
地域によっては、
- 英語のみ
- 中国語・韓国語だけ
- そもそも翻訳がない
など、対応の差が大きいのが現実。
住んでいる地域によって、
“助かる確率が変わってしまう” という課題があります。
■⑧ 外国人支援を強化するには“多言語×わかりやすさ×地域”が鍵
◎行政ができること
- 多言語での避難情報配信
- 防災アプリの充実
- 避難所案内の多言語化
- 翻訳ボランティアの育成
◎企業・学校ができること
- 外国人スタッフ向けの防災研修
- 会社・学校内での多言語ポスター
- ルールの簡単な説明資料の作成
◎地域ができること
- 近所づきあいの促進
- 避難訓練への外国人参加
- 多文化共生のコミュニティづくり
言語だけでなく、
“文化の違いを理解する” のも重要です。
■まとめ|言葉の壁をなくせば救える命がある。多文化社会の防災は待ったなし
地震対策の課題20
「外国人への防災支援が十分に機能していない問題」 は、
多文化社会の日本において必ず向き合うべき課題です。
- 日本語情報が理解できない
- 避難行動の文化的ギャップ
- 避難所のルールが不明
- 観光客の土地勘不足
- 技能実習生の孤立
- SNSデマに弱い
- 多言語支援の地域差
結論:
防災士として、外国人支援は“地域全体の安全”を高める鍵。言葉の壁を越えた防災が、命を守る新しいスタンダードです。

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