日本で生活する外国人は年々増え続けています。
しかし災害が起きたとき、必ずしも日本語が理解できるわけではなく、
文化や環境の違いから「助けて」が言えずに取り残されやすいのが現実です。
防災士として現場を経験して感じたのは、
外国人支援は、難しい専門知識がなくてもできる“最高の他者貢献” だということです。
ほんの少し手を差し伸べるだけで、
救える命が確実に増えます。
■① 外国人が災害時に“最も困るポイント”
地震・台風・洪水などの災害時、
外国人は次のような壁にぶつかります。
- 日本語の放送が理解できない
- 漢字が読めない
- 避難所の仕組みを知らない
- 情報がどれが正しいか分からない
- SNSのデマに振り回されやすい
- 文化の違いで避難に不安を感じる
これは能力の問題ではなく、
「災害の経験が違う」だけなのです。
■② “助けが必要かどうか”は見た目では分からない
外国人の多くは、
困っていても表情に出さなかったり、
遠慮して声をかけてこなかったりします。
【よくあるケース】
- 周囲が避難しているのに、その理由が分からず動けない
- 避難所の受付手順を理解できず戸惑う
- 食事・水・トイレの場所が分からない
- 文化的な理由で人に聞くのをためらう
周囲が「大丈夫かな?」と気づけることが、
最大の支援につながります。
■③ 外国人支援に必要なのは“特別な技術”ではない
実際、外国人支援のほとんどは簡単にできます。
- ゆっくり話す
- やさしい日本語に言い換える
- 指差しで案内する
- 翻訳アプリを使う
- 表情で安心感を与える
- 避難場所まで同行する
どれも誰でもできる行動ばかり。
専門スキルよりも、寄り添う姿勢が一番の力になります。
■④ 生活の文化差に寄り添う支援
災害時は文化の違いが壁になることがあります。
- 靴を脱いで生活する文化
- 宗教的な食事の違い
- プライバシーへの考え方
- 男女の居住区分の違い
- 家族・コミュニティの構造
避難所で外国人が過ごしづらくなる理由は、
この「文化差」がほとんどです。
理解しようとする気持ちそのものが支援です。
■⑤ 平時に始められる“他者貢献 × 外国人支援”
◎地域でできること
- 防災アプリ「まもるくん」を紹介
- 多言語版ハザードマップを渡す
- 町内会・イベントに誘う
- ゴミの出し方や地域ルールを教える
- 地域SNSグループへ招待
◎家庭・個人でできること
- 近くに住む外国人へ声をかける
- いざという時に助け合える関係をつくる
- 日常の小さな交流を増やす
“いざ災害”の時に助け合えるのは、
普段のつながりがある人です。
■⑥ 技能実習生や単身外国人は“取り残されやすい”
特に危険なのは次のような層です。
- 技能実習生
- 工場・飲食・宿泊などで働く単身労働者
- 日本語学校に在籍していない人
- SNSのみで情報をとっている外国人
- 日本に来たばかりの観光客
“助けを求められない人ほど危険”
これは現場で痛感したことです。
■⑦ 外国人が地域に入ると防災力が高まる
外国人を支援することは、
実は地域の防災力向上にも直結します。
- 助け合いの文化が育つ
- 災害時の情報伝達が速くなる
- 誰も取り残さない地域になる
- 地域全体が温かくなる
- 子どもたちが多文化に理解を持つ
「支援」ではなく “共に生きる” という姿勢が
地域をさらに強くします。
■⑧ やさしい日本語は“命を守るツール”
災害時に伝えるときは難しい言葉を使わず、
- “高台へ逃げてください”
- “避難所はこちらです”
- “危ないので移動しましょう”
短く、ゆっくり、はっきり。
外国人・高齢者・子ども
“全員に伝わる表現” が必要です。
■まとめ|外国人支援は“地域全体の命を守る他者貢献”
外国人支援は特別なことではなく、
誰でもできる小さな行動の積み重ねです。
- 言葉の壁に寄り添う
- 文化の違いを理解する
- 声をかける
- 避難を手助けする
- 防災情報を共有する
結論:
防災士として、外国人支援は“困っている人に気づく力”そのもの。地域が変わり、助け合いが生まれ、災害に強いまちへと成長します。

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