冬の停電が起きると、冷蔵庫が止まり、
「食品が腐るのでは?」と心配になります。
しかし冬は気温が低く、場合によっては
“外の方が冷蔵庫より安全”
という状況が生まれます。
防災士として冬の災害支援にも携わってきましたが、
冬の停電では 冷蔵庫より外気温を活用した方が食品の保全効率が高い ケースが非常に多いです。
この記事では、冬の冷蔵庫管理の正しい考え方を解説します。
■① 冬の停電は「冷蔵庫より外気の方が安全」
気温が5℃以下のとき、
外気はそのまま 巨大な天然冷蔵庫 になります。
停電すると冷蔵庫内は、
- 開閉すると一気に温度上昇
- 保温性が意外と低い
- 6〜10時間で10℃以上に上昇
一方、冬の外気は0〜5℃のことが多く、
食中毒菌の増殖が極端に遅い 安全な温度帯です。
冷蔵庫が止まるくらいなら、
むしろ 外に出した方が食品が長持ちする のです。
■② 外気を“冷蔵庫として使える条件”
以下の条件なら、外気活用がベストです。
- 気温:0〜7℃
- 日陰がある
- 風通しが良すぎない場所
- 動物が入りにくい場所
- 雪を利用できる
特に冷え込みが強い夜間は、
外が最も安全な保管環境になります。
■③ 外に置く食品の種類(向いている物)
安全に置ける食材は次のとおり。
- 野菜(根菜類)
- 牛乳
- ヨーグルト
- 卵
- バター
- 豆腐
- 加工品
- 冷凍品(気温が低ければ、ほぼ凍結維持)
「氷点下」まで下がる場合は、
逆に 冷凍庫と同じ環境 が作れます。
■④ 外気に向かない食品もある
一部の食品は注意が必要です。
- 生肉
- 生魚
- 刺身
- 半解凍の肉・冷凍食品
理由:
外気温が日中に上がると危険な温度帯に入りやすいからです。
防災的には、
“冬でも、生鮮食品は1日以内に食べきる”
これが最も安全です。
■⑤ 食品を外に置くときのポイント
外気を「冷蔵庫化」する際のコツです。
- 直射日光を避ける
- 段ボールに入れて動物対策
- 蓋付きの保冷ボックスを利用
- 雪を詰めて温度を安定
- 外気が暖かくなる時間帯は様子を見る
避難所や在宅避難どちらでも使える方法です。
■⑥ “玄関・廊下・車庫”が最強の冷蔵庫代わりになる
外に出せない場合は、家の中でも温度が低い場所を使います。
- 玄関
- 廊下
- 車庫
- ベランダ
- 北側の部屋
これらは気温が低く保たれやすく、
停電時の冷蔵庫の代替場所として非常に有効 です。
■⑦ 冬の停電で最も危険なのは“冷凍庫”
冷凍庫は、
- 解凍 → 再凍結 → 劣化
- ドリップ(肉汁)が出る
- 菌が増殖しやすい
冷蔵より危険度が高いです。
対策:
- 外気が0℃以下なら外にすべて出す
- 氷・雪を保冷バッグに詰める
- 日陰で保管
- 使う予定のないものは早めに調理
冷凍庫食材は“溶ける前に救出”が基本です。
■⑧ 冬の災害では「食中毒のリスクが下がる」
夏と違い、冬は菌の活動が弱くなります。
だからこそ、冬は
- 火が使えればすぐ調理
- 外気を冷蔵庫化
- 食材の保存が長持ち
これだけで、かなり安全な食生活が維持できます。
■まとめ|冬の冷蔵庫は“外気の活用”で停電中でも安心
冬の停電で冷蔵庫が止まっても問題ありません。
外気温が低い冬は、むしろ外の方が安全なケースが多く、
- 気温5℃以下なら自然冷蔵庫
- 氷点下なら自然冷凍庫
- 玄関や廊下でも温度が安定
- 冷蔵庫より外の方が長持ちすることも多い
冬は自然の冷気を最大限活用するのが賢い選択です。
結論:
防災士として、冬の停電では“外の冷気を冷蔵庫化する”ことをおすすめします。冷蔵庫に固執せず、自然の冷気を活かすことが最も安全で効率的です。

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