冬の災害時や移動中、「車中泊で過ごそう」と考える人は多いですが、
冬の車中泊には 命に関わる危険がいくつも存在 します。
防災士として現場経験から言えるのは、
冬の車中泊は「正しい知識と装備がない状態だと非常に危険」 ということです。
この記事では、冬の車中泊に潜む主な危険と、安全に過ごすポイントを解説します。
■① 最大の危険は“CO（一酸化炭素）中毒”
冬の車中泊で最も多い死亡事故がこれです。
- 除雪でマフラー（排気口）が雪で塞がれる
- エンジンをかけたまま眠る
- 雪が降り積もって換気不良
- 風向きで車の下に排気がこもる
CO中毒は無臭で気づけず、
短時間で意識を失い命に関わります。
エンジンかけっぱなしでの睡眠は絶対に禁止。
■② 極寒による“低体温症”
冬の車内は外気温とほぼ同じです。
- 明け方に急激に冷える
- シートが冷たく体温が奪われる
- 窓から冷気が侵入
- 布団や寝袋なしだと数時間で深刻な冷えに
- 子ども・高齢者は特に危険
低体温症は判断力低下 → 意識障害につながり、非常に危険です。
■③ 換気不足による“酸素低下”
密閉空間で数時間過ごすだけで酸素が減ります。
- 窓を閉め切る
- 換気ができない
- 人数が多い車中泊
- 車内でガスストーブや火器を使用（絶対NG）
特に寝ている間は気づかないため危険です。
■④ 体の痛み・血流障害（エコノミークラス症候群）
狭い姿勢で寝続けると、
- 足がむくむ
- 血栓ができる
- 背中・腰の負担増
- 長時間同じ姿勢で危険性UP
冬場は寒さで血流が悪くなるため、
エコノミークラス症候群の発症リスクが上がります。
■⑤ 結露による“湿気とカビ・健康被害”
冬の車中泊は結露がひどくなります。
- ガラスが濡れる
- 車内が湿気だらけ
- カビが発生
- 布団や服が濡れて余計に寒い
- 不快感で眠れない
湿気は冷気を増幅させ、体温低下につながります。
■⑥ 食事・水分・トイレ問題
冬の車中泊では、生活面のトラブルも深刻です。
- 水分不足（寒くても脱水は起こる）
- 食事の準備ができない
- トイレ確保が難しい
- 夜中に外へ出るのが危険（寒さ・視界不良）
特に長時間の車中泊では健康に影響します。
■⑦ バッテリー上がりによる孤立
冬はバッテリーが弱りやすい季節です。
- 暖房・電気毛布をシガーソケットで使い続ける
- ライト・ハザードのつけっぱなし
- 低温でバッテリー性能が低下
エンジンがかけられなくなると、
寒さの中で完全に孤立する危険もあります。
■⑧ 冬に車中泊を“やむを得ずする場合”の安全装備
どうしても必要な場合は、最低限以下の装備が必要です。
- 寝袋（冬用・マイナス対応）
- カイロ（多め）
- 湯たんぽ
- 毛布・ブランケット
- ポータブル電源
- 結露防止フィルム
- 断熱マット
- 窓の目隠し・断熱シェード
- スコップ（吹雪で車が埋まる対策）
- 携帯トイレ
- 飲料水・食料
- 雪用ワイパー
これらがない車中泊は非常に危険です。
■まとめ｜冬の車中泊は“命に直結するリスク”が多すぎる
冬の車中泊は、以下の危険が重なる非常にリスクの高い行動です。
- 一酸化炭素中毒
- 低体温症
- 換気不足
- 健康障害
- 結露による体温低下
- 食事・水・トイレ問題
- バッテリー上がり
安全に車中泊をするためには、
防寒・換気・寝具・装備、すべてが必要となります。
結論：
防災士として、冬の車中泊は「準備なしでは絶対におすすめできない」ほど危険です。やむを得ず行う場合も、十分な防寒と安全対策を整え、命を最優先に判断してください。
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