冬になると、雪だけでなく「着氷（ちゃくひょう）」も大きなリスクになります。
着氷とは、湿った雪や雨が凍りつき、電線・樹木・車・建物に氷が付着する現象です。
防災士として言えるのは、
着氷は「静かな災害」だが、影響は非常に大きい
ということです。
特に、日本海側・山間部・寒冷地では発生しやすく、停電・倒木・交通障害などが同時に発生する危険があります。
■① 着氷とは？どんな現象？
着氷は、湿り雪や雨滴が物体の表面で凍りつく現象です。
特に気温が0〜-3℃前後で起きやすく、以下の場所に氷がつきます。
- 電線
- 樹木の枝
- 車体・ミラー・ワイパー
- アンテナ
- 家の屋根や庇
- 航空機
氷が厚くなるほど、重さが増して破損や倒壊の原因となります。
■② 着氷が引き起こす主な災害
着氷は「静かに広がる冬の危険」です。主な被害は以下のとおり。
●停電
電線が氷の重みで垂れ下がる、切れる、ショートするなどのトラブルが発生。
●倒木
樹木に着氷 → 重みで枝折れ → 電線断線 → 停電の連鎖。
●交通障害
信号機の故障、道路上への落氷、視界不良など。
●家屋・設備の破損
アンテナ破損、雨樋破損、屋根のひび割れなど。
●航空機の欠航・遅延
機体に氷が付着すると安全運航ができないため。
着氷は地域全体に影響を与える“広域災害”にもなり得ます。
■③ 日常生活で起きるトラブル
着氷は日常生活にもさまざまな問題を起こします。
- 車の窓が凍結して視界ゼロ
- ワイパーが凍りついて動かない
- ドアが凍結して開かない
- 玄関の鍵穴が凍る
- 外階段・手すりがツルツルに
冬の朝、「出発できない」「動かない」は着氷の代表的トラブルです。
■④ 着氷から家を守る備え
家庭でできる対策をまとめます。
●事前対策
- アンテナの補強
- 雨樋の点検
- 枝落とし・剪定
- 外の水道は凍結防止
- 屋根雪の状態確認
●当日・直前
- シャッターを閉める
- 外のホース・給水器を片づける
- ベランダは整頓
- 窓に断熱シート
- 玄関前の着氷防止（塩化カルシウムなど）
“氷の重み”に耐えられる状態にしておくことが大切です。
■⑤ 着氷時の車の安全対策
着氷が原因の交通トラブルは非常に多いです。
●運転前のチェック
- フロントガラスの氷を完全に除去
- ワイパーは凍りつき注意
- ミラーの着氷を確認
- ランプが氷で隠れてないかチェック
●走行中の危険
- 路面は“ブラックアイスバーン”化
- 氷片が飛んでくる
- 視界不良
●車載しておくもの
- 解氷スプレー
- スノーブラシ
- スクレーパー
- 毛布・手袋
- モバイルバッテリー
ピーク時の運転は極力避けることが命を守ります。
■⑥ 停電に備える：着氷は停電リスクが特に高い
着氷と停電はセットで起こると考えてください。
●備えておくもの
- 石油ストーブ
- カセットボンベ暖房
- 懐中電灯・ランタン
- モバイルバッテリー
- ポータブル電源
- 断熱毛布・寝袋
- 水と食料（1〜2日分）
停電で暖房が使えない冬は非常に危険です。
■⑦ 子ども・高齢者・ペットの安全管理
着氷時は“外が危険”です。
- 登下校は時間調整
- 送迎を検討
- 転倒防止の靴やスパイクを使用
- ペットの散歩は控える
- 高齢者の外出は同行する
家庭内での転倒事故も増えるため、室内温度と床の結露にも注意。
■⑧ 気象情報で着氷を把握する方法
着氷は、気象情報で事前に知ることができます。
- 気象庁「電線着雪予測」
- 雪雲レーダー
- 低気圧の発達
- 氷点下の雨予報（着氷雨）
- 寒気の流れ込み情報
「着氷注意報」が出たら、外出時間の変更や停電対策をすぐ始めましょう。
■まとめ｜“着氷は静かに広がる冬の災害”
着氷は、雪のように派手さはありませんが、
停電・倒木・交通障害・日常トラブルを一気に引き起こす冬の危険現象 です。
だからこそ、
- 家の点検と補強
- 車の着氷対策
- 停電への備え
- 子ども・高齢者の安全確保
- 気象情報のチェック
- 外出の時間調整
これらの積み重ねが、冬の安全を大きく左右します。
結論：
防災士として、着氷は“気づいたときには手遅れになりやすい災害”だと感じています。事前の備えと行動判断こそが、命を守る最も確実な対策です。
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