大雨が降った時に起きる水害には「河川氾濫」と「内水氾濫」があります。
その中でも 内水氾濫は最も身近で突然起きる浸水被害 です。
防災士として強く感じているのは、
「多くの人が油断しているのは川ではなく“家の前の道路”」
ということです。
この記事では、内水氾濫の仕組みと、家庭でできる備えをわかりやすく解説します。
■① 内水氾濫とは?
簡単に言えば、
「雨の逃げ場がなくなり、街の排水機能がパンクして水が溢れる現象」
を指します。
川の氾濫がなくても起こり、家のすぐ近くで発生するのが特徴です。
■② 内水氾濫が起きる原因
内水氾濫は、次の条件が重なることで起きます。
- 短時間に大量の雨が降る(ゲリラ豪雨・線状降水帯)
- 下水管や側溝の容量を超える
- 道路にゴミが溜まり排水が詰まる
- ポンプ場の排水能力を超える
- マンホールから水が噴き出す
- 河川の水位が高く、排水が逆流する
つまり、
街の排水が“限界を超えた時”に発生します。
■③ 内水氾濫の危険性
内水氾濫は想像以上に危険です。
- 10〜30cmで車が走れなくなる
- 側溝に足を取られる
- 子どもが流される事故
- マンホールが外れる
- 下水の逆流でトイレが使えなくなる
- 家の床下・床上浸水
- 電化製品が水に触れてショート
特に 排水口が詰まった住宅街 でよく起きます。
■④ 内水氾濫が起きやすい地域の特徴
次の条件に当てはまるとリスクが高いです。
- 低地・谷底地
- 河川より低い土地
- 周囲が高い建物に囲まれた場所
- アンダーパス(陥没道路)
- 新興住宅地
- 排水能力が低い古い街区
- のり面・坂道の下側
家や職場が該当する場合は、特に注意が必要です。
■⑤ 家庭でできる内水氾濫対策(雨が降る前)
事前にやっておくことで被害が大きく変わります。
●1)側溝・排水口の掃除
落ち葉・砂・ゴミを取り除く。
これだけで水の流れが大きく改善します。
●2)止水板・土のうを準備
玄関・勝手口・ガレージに最適。
水の侵入を遅らせる効果が高い。
●3)家の周りの“水の流れ”を確認
大雨の前に、道路から自宅への斜面をチェック。
●4)車を高台に移動
水没すると修理費30万〜100万円レベル。
●5)雨樋の詰まりを点検
雨樋の機能低下は内水氾濫を悪化させます。
■⑥ 雨が降り始めたら注意するポイント
次の変化が起きたら危険が近いサインです。
- 側溝から水が溢れ始める
- マンホールの周囲が波打つ
- 道路に“川の流れ”ができる
- 車の走行で水しぶきが上がる
- 雨が弱くなっても水が引かない
この時点で外へ出るのは大変危険です。
■⑦ 内水氾濫のさなかに絶対やってはいけない行動
- アンダーパスに入る
- 冠水した道路を歩く
- 車で走り抜けようとする
- 自宅の外に出て様子を見る
- 側溝のフタを開けようとする
- 懐中電灯・電気機器を水に近づける
内水氾濫は“浅い水だから大丈夫”という油断が命取りになります。
■⑧ 情報収集で被害を最小化できる
内水氾濫は突然起こるため、事前情報が重要です。
- 気象庁の「雨雲レーダー」
- 防災アプリ(まもるくん・Yahoo!防災)
- 自治体の防災メール
- 河川カメラ
雨雲の移動速度を把握することで、
危険な時間帯を予測できます。
■まとめ|内水氾濫は“どこでも起きる身近な災害”。事前のひと手間が命を守る
内水氾濫は、川の氾濫よりも身近で、住宅街・道路・職場など生活圏で突然起きる危険な水害です。
- 排水能力の限界で発生
- 家の前の道路が最も危険
- 側溝・雨樋の点検が効果的
- 止水板・土のうの準備は必須
- 冠水道路は絶対に入らない
- 雨雲レーダーで時間帯を予測
結論:
防災士として、内水氾濫は“家庭での小さな備え”で被害を大きく減らせる災害だと強く感じています。日常の中で少しずつ対策を進めることが、家族と地域を守る力になります。

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