日本の自然災害の中でも、発生頻度・被害規模ともに高いのが「台風」です。
大雨・暴風・高潮・土砂崩れ・河川氾濫など、多くの災害を同時に引き起こすため、事前の備えと正しい行動が命を守ります。
防災士として現場を見てきた経験からも、
台風は「準備すれば守れる災害」。逆に“油断した瞬間に被害が広がる災害”でもあります。
ここでは台風の仕組みと危険性、家庭でできる具体的な備えを解説します。
■① 台風の仕組みと日本が被害を受けやすい理由
台風は熱帯の海で発生する大規模な渦で、強い雨と風をもたらします。
日本が被害を受けやすいのは、
- 海水温が高く台風が発達しやすい
- 日本列島が台風の進路上にある
- 山が多く雨が集中しやすい
- 河川が短く急流で水位が上がりやすい
という地形・気象条件のためです。
■② 台風が引き起こす4つの大きな災害
台風は1つの現象でありながら、複数の災害を同時に引き起こします。
●1)暴風
屋根が飛ぶ、看板が落ちる、飛散物が致命傷になるほどの強風。
●2)大雨
線状降水帯を伴う場合、24時間で数百mmの降雨となることも。
●3)高潮
海岸沿いでは、台風の接近で海面が数m上昇し浸水が発生。
●4)土砂災害
斜面や裏山がある地域では、地盤が緩み崩壊の危険が高まる。
どれか1つでも十分危険ですが、複合災害はさらに被害を拡大させます。
■③ 台風接近前に必ずやるべき備え
台風は“事前準備で被害を大きく減らせる災害”です。
- 雨どいの掃除
- ベランダの物の撤去
- 風で飛びそうな物の屋内移動
- 窓の補強(養生テープ・段ボール)
- スマホ充電・モバイルバッテリー準備
- 停電に備えて冷凍庫を満杯に
- 車のガソリン補給
- 避難場所・避難ルートの再確認
これらは台風が来る前に必ず行いたい行動です。
■④ 高齢者・子ども・要支援者の避難は“前日または早朝”が正解
台風の避難で多い失敗は、
「雨と風が強くなってから避難しようとすること」 です。
特に、
- 高齢者
- 乳児を抱えている家庭
- 障がいを持つ方
- 妊婦さん
は、早めに避難行動を取りましょう。
防災士として、
“避難は安全なうちに早めに行う”
ことが何よりの命綱だと強く伝えたいです。
■⑤ 停電への備えが命を左右する
台風では広範囲停電が頻発します。
- エアコン・暖房・調理家電が使えない
- 冷蔵庫の機能停止
- 情報収集が困難
- 夜間の暗闇で転倒リスク増加
特に夏の台風は熱中症リスクが高まります。
【最低限準備したいもの】
- モバイルバッテリー
- LEDランタン
- カセットコンロ
- 飲料水と保存食
- 保冷剤・氷
- ポータブル電源(可能なら)
■⑥ 台風当日に必ず避けるべき行動
台風時は、普段なら問題ない行動が命取りになります。
- 川の様子を見に行く
- 冠水した道路に車で進入
- 強風下での外出
- 海岸・堤防に近づく
- マンホールのフタ周辺の歩行
- 停電した信号の交差点での無理な運転
毎年、これらの行動で亡くなる方が後を絶ちません。
■⑦ 台風通過後にも潜む2次リスク
台風が過ぎても油断できません。
- 土砂崩れが“遅れて”発生
- 停電継続で生活困難
- 川の水位が下がらない
- 信号故障による交通事故
- 倒木・電線の落下
「通過したから安全」ではありません。
■⑧ 情報収集は命を守る“武器”
台風は予測しやすい災害です。
だからこそ、正確な情報を早く知るほど安全になります。
- 気象庁の警報・特別警報
- 進路予測・暴風域の時間
- 河川水位
- 土砂災害警戒情報
- 自治体の避難情報
- 防災アプリ(まもるくん、Yahoo!防災)
情報源は複数持っておくことが重要です。
■まとめ|台風は“備えれば守れる災害”。早めの判断が家族の命を救う
台風は毎年のように発生し、規模も年々強力になっています。
その一方で、事前の行動で被害を大きく減らせる災害 でもあります。
- 備えは早めに
- 避難は安全なうちに
- 停電対策は必須
- 川・海・強風には絶対に近づかない
- 最新の情報を複数で確認する
結論:
防災士として、台風は「準備の量=守れる命の数」。早めに動けば、台風は必ず乗り越えられます。

コメント