【防災士が解説】台風③|“避難のタイミング”を間違えないための判断基準

台風の被害は「いつ避難するか」で大きく変わります。
暴風・豪雨・浸水・停電は、判断の遅れによって一気に危険性が高まります。

防災士として強く感じるのは、
台風で命を落とす原因の多くが「避難の遅れ」 だということです。
この記事では、台風接近時に“迷わず動ける具体的な判断基準”をまとめます。


■① 避難情報の「警戒レベル」を理解しておく

台風時の避難判断は、警戒レベルで整理すると分かりやすいです。

  • レベル3:高齢者等は避難
  • レベル4:避難指示(全員避難)
  • レベル5:災害発生(すでに危険)

特に重要なのは レベル3の段階で避難を始める人が多いほど、犠牲が減る という点です。

高齢者や子どもがいる家庭は「レベル4」では遅いことがあります。


■② 川が危険な状態になる“前”に動く

台風の時、川の状態は命に関わります。
絶対に次の変化を見逃してはいけません。

  • 川の色が濁り始める
  • 水位が急激に上昇
  • 水が流木を多く含む
  • 堤防の下草が見えなくなる
  • アラートが頻繁に鳴る

これらのサインが出れば、
「避難の準備」ではなく「避難そのもの」 を始めるタイミングです。


■③ 夜の避難は大幅にリスク上昇。行動は明るいうちに

災害現場で実感するのは、
夜の避難はリスクが何倍にも跳ね上がる という事実です。

  • 冠水した道が見えない
  • 停電で真っ暗になる
  • 強風で傘も使えない
  • 看板や飛来物が見えない
  • 車がアンダーパスに突っ込む事故が多発

避難は必ず「日没まで」に終えておくことを目安にしましょう。


■④ 車での避難が「危険になる条件」を知る

台風時、車は便利ですが、状況によっては“最も危険な選択”になります。

【車が危険になる条件】

  • 道路が10cm以上冠水
  • アンダーパス(立体交差)
  • 川沿いの道路
  • 土砂災害の危険区域
  • 強風でハンドルを取られるレベルの風

特にアンダーパスは、
台風で最も死亡事故が多いポイント です。


■⑤ 避難所は「濡れる前」に入る

台風での避難所入りは、
雨・暴風のピーク前が鉄則 です。

濡れた状態で避難所に着くと、

  • 体が冷える
  • 子どもが不安になる
  • 高齢者が体調を崩す
  • 睡眠が取れない
  • ストレスが大幅に増える

“濡れずに避難すること”は、命にもメンタルにも非常に大切です。


■⑥ 在宅避難の判断基準

家に留まる判断をする場合は、次を確認してください。

  • 家が洪水浸水区域に入っていない
  • 土砂災害警戒区域に入っていない
  • 2階以上で避難可能
  • 停電対策ができている
  • 水・食料が3日分以上
  • 窓の補強済み
  • 情報収集手段が複数ある

1つでも不安があるなら、早めに避難所へ移動 した方が安全です。


■⑦ 家族の状況によって“避難速度”は変わる

避難は世帯によって必要なスピードがまったく違います。

  • 高齢者がいる
  • 乳児がいる
  • 妊婦がいる
  • 障がいのある家族がいる
  • ペットを連れていく必要がある

これらの場合は、
警戒レベル3の段階で避難が最も安全


■⑧ 避難を迷った時の「たった1つの基準」

迷ったらこう考えてください。

“行くか迷う時点で、もう行くべき状態”である。

災害の現場では、
「もう大丈夫だろう」「まだ早い」
という判断が命を落とす要因になります。


■まとめ|台風は“命を守る判断”が最重要。避難は早い人ほど助かる

台風は予測しやすい災害であり、
そのぶん 判断の早さが命を守る最大の要因 になります。

  • 警戒レベル3で動く
  • 夜避難は避ける
  • 車の危険ポイントを理解
  • 家族に応じた避難速度
  • 判断に迷ったら避難する

結論:
防災士として、台風は「早めの避難」が最強の対策。後悔しない行動を選ぶことが、家族の命を確実に守ります。

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