【防災士が解説】台風⑥|高潮・河川氾濫・海沿いの重大リスクと命を守る行動

台風で最も危険な被害の一つが 高潮(たかしお)と河川氾濫 です。
海岸沿い・河川近くに住む人にとっては、命を脅かすレベルの災害になります。

防災士として被災地を見てきた経験からも、
高潮と氾濫は“気づいた時には手遅れ”になりやすい災害の代表例 です。

今回は、高潮と河川氾濫の仕組み、危険性、避難行動を徹底的に解説します。


■① 高潮(たかしお)とは?台風時に海面が急上昇する現象

高潮とは、

台風の強風・気圧低下によって海面が数m上昇し、陸地へ押し寄せる現象

です。

特徴:

  • 数十分で一気に浸水する
  • 海沿いの家屋・道路が水没
  • 車が流される
  • 夜間に発生すると気づきにくい
  • 堤防を超える“越波”が致命的

海沿いはもちろん、河口付近も高潮の影響を大きく受けます。


■② 河川氾濫は「外水氾濫」と「内水氾濫」の2種類

台風による氾濫は大きく2つ。

●外水氾濫

川そのものがあふれる本格的な洪水。
→ 広範囲が浸水し、避難が困難になる。

●内水氾濫

雨水が排水しきれず街中が冠水。
→ 都市部でも多発、車が動けなくなる。

台風時はこの2つが同時に発生することもあります。


■③ 海沿いが台風に弱い理由

日本の海沿いの地域は、高潮に特に弱い特性があります。

  • 海岸線が多い
  • 平地が低く浸水しやすい
  • 河口部に住宅地が広がる
  • 台風の進路と重なりやすい
  • 強風で波が巨大化

過去の災害でも、海沿いの地域は甚大な被害が集中しています。


■④ 高潮が危険な“3つの条件”

高潮は次の条件が重なると、短時間で大災害になります。

  1. 台風が海岸線を通るルート
  2. 満潮の時間帯と重なる
  3. 気圧が大きく低下している(950hPa以下)

この3つが揃うと、
堤防を超える巨大な波(越波)が押し寄せます。


■⑤ 海沿い・河川沿いの人が絶対に避けるべき行動

台風接近時、以下の行動は命を危険にさらします。

  • 海の様子を見に行く
  • 堤防に上がる
  • 河川の視察
  • 冠水した道路に車で侵入
  • 船の確認のため港に行く
  • 釣り・サーフィンなどの海の活動

防災士として断言します。
台風時に海・川へ近づく行為は“最も危険で死亡事故が多い行動”です。


■⑥ 自宅周辺の「浸水深」を必ず確認する

高潮・氾濫の避難判断で最重要なのは、

自宅が最大何m浸水する地域なのか
をハザードマップで確認することです。

例:

  • 0.5m浸水 → 車が動かない
  • 1m浸水 → 避難が困難に
  • 3m浸水 → 通常避難では間に合わない

浸水深が深い地域は 垂直避難(2階以上)
事前避難(レベル3〜4で避難所へ) が必要です。


■⑦ 河川水位の情報は「1時間ごと」にチェック

河川水位は、台風時に数時間で急上昇します。
チェックすべきデータ:

  • 河川水位(ライブカメラ)
  • 気象庁の洪水警報
  • 中小河川の水位警報
  • 流域の雨量
  • 上流域の豪雨情報

特に中小河川は“急にあふれる”ため非常に危険です。


■⑧ 高潮・河川氾濫の避難判断は「早さが命を守る」

高潮と氾濫は、
「気づいたら家の前が川になっていた」
というほど進行が速い災害です。

避難のポイント:

  • 警戒レベル3で高齢者・子どもは避難
  • レベル4は全員避難(遅い可能性あり)
  • 夜の避難は危険
  • 車避難は道路状況を必ず確認

迷ったら避難が最も安全です。


■まとめ|高潮と河川氾濫は“早めの避難”が唯一の安全策

高潮・河川氾濫は、台風の中でも人命に直結する最も危険な災害です。

  • 海沿い・河川沿いは特に注意
  • 高潮は満潮と重なると急激に危険化
  • 氾濫は一気に道路・住宅を飲み込む
  • 絶対に海・川に近づかない
  • 避難は必ず早い段階で

結論:
防災士として、高潮・氾濫は“迷っている時間が致命的”。早めの避難判断こそ命を守る最強の行動です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました