【防災士が解説】台風⑩|子ども・高齢者・妊婦・障がい者…要配慮者の命を守るために家庭が必ず備えること

台風の被害では、暴風や大雨そのものより
「避難の遅れ」や「体調悪化」 が命に関わります。

特に、
子ども・高齢者・妊婦・障がい者・持病のある人など
要配慮者は災害弱者となりやすい のが現実です。

防災士として現場を経験してきた立場から、
“家庭でできる要配慮者支援” をまとめて解説します。


■① 子どもへの台風対策|不安を減らし、行動を早くする

子どもは急な環境変化に弱く、不安を抱きやすいです。

事前にしておくべきこと:

  • 「台風が来たら○○するよ」と写真付きで説明
  • お気に入りのぬいぐるみ・おもちゃを避難袋に
  • 絵本・タブレットで気をそらす準備
  • 非常食は“子どもが食べ慣れた味”で揃える

避難時、子どもが落ち着くだけで 家族の行動スピードが上がる ため非常に重要です。


■② 高齢者の台風対策|移動の早さが命を守る

高齢者は避難行動が遅れやすく、台風時は特に危険です。

必要なポイント:

  • 早めの避難(警戒レベル3の段階で)
  • 歩行補助具・薬・入れ歯は必ずセット
  • 屋外の片付けは家族が代行
  • 気圧変動による体調悪化に注意

避難所では高齢者が転倒しないよう、
靴の脱ぎ履きしやすい入口付近のスペース確保 が大切です。


■③ 妊婦さんの台風対策|安全な環境を最優先に

妊婦さんは体温調整が難しく、ストレスによる体調悪化も起きやすいです。

準備しておくべきもの:

  • 母子手帳
  • 産院の緊急連絡先
  • 経産婦は“特に早めの避難”
  • 冷え対策(ブランケット・カイロ)
  • 食べ慣れた食品

避難所の環境次第では、無理をせず 車中避難+安全確保 を選ぶ家庭もあります。


■④ 障がいのある家族の対策|一人ひとりに合った準備が必要

障がいは種類や程度によって必要な準備が大きく違います。

例:

●聴覚障がい

  • 光や振動で通知する端末
  • 手話・筆談セット

●視覚障がい

  • 居住空間の動線を事前に整理
  • 白杖、読み上げアプリの準備

●知的・発達障がい

  • 避難手順を視覚化(写真・イラスト)
  • 音や光のストレス緩和グッズ

●身体障がい

  • 車いすの空気圧チェック
  • 段差を避けるルート確認

台風は停電・暗闇・騒音が重なるため、
環境変化が苦手な人ほど“事前説明”が効果的 です。


■⑤ 持病がある人の備え|薬は“最低3日分”セット

台風後は病院が混雑し、診療できないケースもあります。

準備:

  • 処方薬(3〜7日分)
  • お薬手帳
  • 自宅での保冷が必要な薬の対応
  • 血圧計・血糖測定器

医療機器が電源を必要とする場合、
必ず 「停電時にどうするか」 を家族で確認します。


■⑥ 避難のタイミングは「ギリギリまで様子を見る」は危険

要配慮者のいる家庭ほど、
避難の判断は 警戒レベル3(高齢者等避難) の段階がベスト。

理由:

  • 暗くなる前に移動できる
  • 雨風が弱いうちに安全に動ける
  • 避難所が混雑する前に場所を確保できる

台風は「突然状況が変わる」ため、
早い行動は命を守る基本です。


■⑦ 避難所で必要な“要配慮者支援セット”

家族に応じて、避難所持参品をカスタマイズします。

  • ブランケット
  • 耳栓・アイマスク
  • 衛生用品
  • 子どもの遊び道具
  • 高齢者の上履き
  • 妊婦の体を冷やさないグッズ
  • 持病の薬
  • 障がいに必要な支援グッズ

避難所は環境ストレスが大きいので、
「その人の安心材料」を優先して持つ のがコツです。


■⑧ まとめ|要配慮者のいる家庭ほど“早めの行動”が命を守る

台風のとき、最も重要なのは

「弱い立場の家族を中心に考えた行動計画」 です。

  • 子ども → 不安を減らす準備
  • 高齢者 → 早めの避難
  • 妊婦 → 冷えとストレス対策
  • 障がい → 個別対応
  • 持病 → 薬の確保
  • 避難 → 警戒レベル3で動く

防災士として伝えたい結論はひとつ。
要配慮者の命を守るには、事前の準備と“早い避難判断”が不可欠。

家族の状況に応じて、今日からできる備えをひとつずつ整えていきましょう。

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