【防災士が解説】高潮④|“来る前に備える”ことで被害は大幅に減らせる。家庭・地域でできる高潮対策の実践ポイント

高潮は「起きてからの対処」では遅く、
被害を減らすためには 事前の備えと環境づくり が欠かせません。

防災士としての視点から、
“高潮に強いまち・家庭づくり” のポイントをわかりやすく整理します。


■① ハザードマップは“浸水深”を見ることが最重要

高潮対策は、まず「どれだけ浸かるのか」を知ることから始まります。

  • 浸水深が0.5m → 足元浸水
  • 1m → 住宅の床上浸水
  • 3m以上 → 家具の浮遊・家屋流失危険

「色」だけでなく 数字(浸水深) を見ると、
避難判断の基準が明確になります。


■② 自宅の弱点を把握する|低地・地下・河口近くは特に注意

高潮被害は地形で大きく変わります。

危険が大きいエリアの特徴:

  • 海に近い低地
  • 河川の河口付近
  • 埋め立て地
  • 地下室・地下駐車場がある地域
  • 堀がある住宅地

自宅の標高を確認すると、
「どこまで逃げれば安全か」がすぐに分かります。


■③ 家の耐水化|被害を最小限に抑える工夫

高潮が想定される地域では、
住宅の“耐水化”が効果を発揮します。

有効な対策:

  • 玄関の止水板
  • 排水口の逆流防止弁
  • 家具の下にブロックなどで高さをつける
  • 床下換気口の防水カバー
  • 家電は床から最低30cm以上浮かせる

高潮は海水のため、
床下浸水でも家電が壊れる 可能性があります。


■④ 車は必ず高台へ|地下駐車場は最も危険

高潮被害で最初に浸水するのは 地下空間と駐車場

  • 地下駐車場
  • ビルの1階
  • 河口付近の月極駐車場
  • 海沿いの平地の駐車場

車の水没は経済的損失が大きいため、
台風接近時は 必ず高台へ移動 してください。


■⑤ 避難先の“複数確保”が高潮では命を守る

高潮は進行が早く、1つの避難所が使えないケースがあります。

避難先の候補は複数準備を。

  • 小中学校の避難所
  • 親戚・知人宅(高台)
  • 車で安全に移動できる場所
  • 会社や公共施設

“1か所だけに頼る”のは高潮では危険です。


■⑥ 満潮時間の確認こそが最重要情報

高潮が最も危険になるのは 満潮と重なる時間帯

台風接近時は、

  • 満潮
  • 台風の最接近
  • 大雨のピーク

この3つが重なると、
堤防を越えるリスクが一気に高まります。

気象庁の潮位情報は必ずチェックしておきましょう。


■⑦ 地域ぐるみで“見守り体制”を作る

高潮時は、避難が必要な人ほど
「大丈夫だろう」と判断してしまう傾向があります。

地域でできること:

  • 高齢者の声かけ
  • 一人暮らしの人の状況確認
  • 避難情報の共有
  • 移動支援(付き添い・送迎)

“誰かが助ける”のではなく、
地域全体で動くことが高潮対策の基本 です。


■⑧ 家族間の連絡手段を複数確保する

高潮時は停電や通信障害が起きる可能性があります。

準備しておくべき連絡手段:

  • 家族みんなが同じ避難ルートを共有
  • LINEだけに頼らない
  • 電話が繋がらないときの集合場所
  • モバイルバッテリーの常備

通信が途絶えたときこそ、
事前の話し合いが家族を守ります。


■まとめ|高潮の被害は“事前準備の量”で決まる

高潮は避難の遅れが命に関わる災害です。

  • 浸水深を把握する
  • 地形リスクを知る
  • 住宅の耐水化
  • 車は高台へ移動
  • 避難先は複数確保
  • 満潮時間の確認
  • 地域の見守り体制
  • 家族の連絡手段を共有

防災士としての結論:

高潮の被害は「避難の早さ」と「事前準備の徹底」で大幅に減らせる。

今日、ハザードマップと満潮時間を一度確認するだけでも
家族の安全は大きく前進します。

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