高潮は「気づいたら水が押し寄せていた」というケースが多く、
行動が遅れた家庭ほど危険にさらされます。
防災士としての経験から、
高潮時に実践すべき 避難のタイムライン(時間軸での行動計画) を解説します。
■① タイムライン防災とは|「事前に行動を決めておく」考え方
タイムライン防災とは、
災害の進行に合わせて行動を事前に決めておく方法 です。
高潮においては非常に有効で、
- 避難が遅れる
- 車の移動が間に合わない
- 夜間に状況を見誤る
こうした“行動の遅れ”を防ぐことができます。
■② 48時間前|台風情報を確認し、満潮時間をチェック
高潮は「満潮」と重なると被害が急拡大します。
48時間前にすること:
- 気象庁の台風進路の確認
- 海面水位予測をチェック
- 満潮時間を把握
- 自宅の浸水深を再確認
- 車の移動先を検討
ここでの準備が、その後の判断を大きく左右します。
■③ 24時間前|車を高台へ移動し、避難先を確定する
台風接近の24時間前は“準備から行動へ移る段階”。
行うべきこと:
- 地下駐車場から車を移動
- 避難先(学校・親戚・公共施設)を確定
- 防災ポーチを玄関にまとめる
- 冷蔵庫・風呂の水をためる
- 家の外の飛びやすい物の撤去
この段階で 避難の7割が完了 します。
■④ 12時間前|警戒レベル3相当の状況なら“迷わず避難”
高潮は夜間に最接近するケースも多く、
暗くなる前に避難しておくことが重要です。
チェックするポイント:
- 高齢者・子ども・妊婦・障がいのある家族は早めに出発
- 風が強くなる前に車で移動
- 避難所の駐車場の混雑を回避
- 強風での歩行避難は避ける
“避難を迷う理由”より
“避難しない理由があるか”で判断すると安全です。
■⑤ 6時間前|高潮警報・高潮特別警報を必ず確認
発表される情報を見落とさないのが命を守る鍵です。
見るべき情報:
- 高潮警報
- 高潮特別警報
- 河川の水位情報
- 港湾水位のリアルタイムデータ
- 内水氾濫情報
この段階で避難していない場合、
徒歩での避難は風・水でほぼ不可能 になる恐れがあります。
■⑥ 最接近時|絶対に外に出ない
高潮のピーク時は、
- 飛来物
- 電線の断線
- 急激な水位上昇
- 逆流による浸水
など非常に危険です。
避難していない場合は、
- 2階以上へ移動
- 懐中電灯・水・スマホを手元に
- ブレーカーは落としておく
“垂直避難”で命を守ります。
■⑦ 水が引いた後も危険|急がず、安全確認が最優先
高潮後の復旧は、
- 感電
- 道路の陥没
- 海水による床下腐敗
- 下水の逆流
- 家具の転倒
のリスクがあります。
水が引いた後も「終わり」ではなく、
ここからが安全確保の本番 です。
■⑧ まとめ|高潮は“早い判断”だけが命を守る
高潮は“見てから判断する災害”ではありません。
- 48時間前:満潮時間・進路確認
- 24時間前:車の移動・準備完了
- 12時間前:避難開始
- 6時間前:最新情報の確認
- 最接近:外に出ない
防災士としての結論:
高潮は「逃げた人」が助かる災害。行動を前倒しするほど家族の安全は確実になる。
今日、家族のタイムラインを1枚作っておくだけで
高潮のリスクは大幅に下がります。

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