高潮は一瞬で海水が押し寄せる災害ですが、
その後に続く 停電・断水・通信障害 が、生活を大きく不自由にさせます。
防災士としての経験から、高潮後に特に起こりやすい“ライフライン障害”と、
家庭での備え・行動をわかりやすく解説します。
■① 高潮は「停電」を引き起こしやすい災害
高潮で最も多いライフライン障害が 停電 です。
理由は以下の通り:
- 海水で電柱やトランスがショート
- 地下設備の浸水
- 倒木や飛来物による断線
- 風による電線損傷
停電は 広い範囲で長時間続く ことがあるため、
家庭での備えが必須です。
■② 停電時の家庭での基本行動
高潮で停電した場合は、安全のため次を徹底します。
- ブレーカーは落とす
- 感電防止のため、濡れた家電に触らない
- 懐中電灯やランタンを使用(ロウソクはNG)
- スマホのバッテリー管理
- 冷蔵庫は極力開けない
停電復旧時の“通電火災”の危険を防ぐため、
とくにブレーカー処理が重要です。
■③ 高潮は“断水”も発生しやすい
高潮で浸水した地域では、断水が起きやすくなります。
原因:
- 浄水場の浸水
- 海水混入による機器停止
- 送水ポンプの故障
- 配水管の破損
断水は停電とセットで起きることが多いため、
事前の水の備えが重要です。
■④ 断水への備え|“3日分の飲料水”+“生活用水”を確保
高潮接近の前にしておくべきこと:
- 飲料水は1日1人3L × 3日分
- 風呂に生活用水をためる
- キッチンで使うポリタンクの準備
- 簡易トイレ・凝固剤を用意
高潮は泥や海水が混じるため、
断水復旧までの時間が長引く傾向があります。
■⑤ 通信障害も起きやすい|情報が遮断されると判断が難しくなる
高潮によって、
- 基地局の浸水
- 停電による電源停止
- 光回線の断線
- ルーターが使用不能
こうした通信障害が発生します。
家族の行動がバラバラだと危険なので、
通信が途絶えたときの集合場所と避難ルート を事前に決めておくことが大切です。
■⑥ 浸水した“ガス設備”の使用は非常に危険
高潮後にガスを使うと、
- ガス漏れ
- 腐食による破損
- 接続部のゆるみ
- 器具の故障
などのリスクがあります。
ガスの再開は必ず ガス会社の点検後 に。
■⑦ 高潮後の“生活再建”はまず衛生管理から
高潮で浸水した地域は、
- 海水汚れ
- 下水逆流
- 泥の堆積
- カビの繁殖
これらで衛生状況が著しく悪化します。
必要な対応:
- 手洗い・消毒の徹底
- ゴム手袋・マスクを着用
- 濡れた床材の早期撤去
- 換気と送風で乾燥
特に子ども・高齢者は感染症リスクが高いため注意が必要です。
■⑧ まとめ|高潮は“ライフライン障害”まで含めて備える
高潮は浸水だけでなく、
その後に続く停電・断水・通信障害が生活を直撃します。
- 停電は広域で長期化する
- 断水は海水混入で復旧が遅れやすい
- 通信障害は情報弱者になりやすい
- ガスは再開手順が必須
- 衛生環境は最優先で整える
防災士としての結論:
高潮は「水が引いた後の生活」が本当の闘い。ライフライン障害を想定した備えが命と生活を守る鍵になる。
今日、飲料水と非常用ランタンを準備するだけでも、
高潮への備えは大きく前進します。

コメント