高潮は急激に水位が上がるため、
避難に時間がかかる人ほど大きな危険にさらされます。
防災士として現場を経験してきた立場から、
子ども・高齢者・妊婦・障がい者など
“要配慮者の命を守るための高潮対策” をわかりやすく整理します。
■① 要配慮者ほど“早く避難する”必要がある理由
高潮は避難の遅れが致命的になります。
要配慮者は、
- 歩行や移動に時間がかかる
- 環境の変化に弱い
- 暗い時間の避難が難しい
- 体調を崩しやすい
こうした特性から、
警戒レベル3(高齢者等避難)で必ず動くべき対象 です。
■② 子どもの安全|不安を減らすと避難がスムーズになる
子どもは急な変化に弱く、
避難時の混乱が行動の遅れにつながります。
必要な工夫:
- 事前に「避難の流れ」を写真で説明
- お気に入りのぬいぐるみ・おもちゃ
- 子ども用の防災リュック
- 音・暗さへの対策(ライト・耳栓)
親の不安が移りやすいため、
子どもの落ち着きは避難全体を早める効果があります。
■③ 高齢者の安全|早避難が最も効果的な命の守り方
高齢者は高潮時に最も被害を受けやすい層です。
理由:
- 歩行が遅い
- 道路の冠水で転倒しやすい
- 持病が悪化しやすい
- 夜間の視界に弱い
準備しておくべきもの:
- 早めの避難(明るいうちに)
- 常備薬・お薬手帳
- 眼鏡・補聴器
- 足元が滑りにくい靴
介助が必要な高齢者は
家族・地域での声かけが命をつなぎます。
■④ 妊婦さんの安全|冷え・ストレスへの対策が必須
妊婦さんは高潮時の避難環境に大きく影響されます。
必要な対策:
- 母子手帳
- 産院の緊急連絡先
- 冷え対策(ブランケット・カイロ)
- 車で移動できるなら早期に避難
避難所環境によっては
車中避難+安全確保 を選ぶ家庭もあります。
■⑤ 障がいのある家族への個別支援
障がいの種類によって必要な支援が大きく異なります。
●聴覚障がい
- 光や振動の通知デバイス
- 筆談道具
●視覚障がい
- 避難ルートの事前確認
- 白杖・音声読み上げアプリ
●知的・発達障がい
- 視覚支援ツール(写真・イラスト)
- 大きな音・暗さへの対策
●身体障がい
- 車いすの空気圧確認
- 移動介助の段取り確認
高潮は暴風・暗闇が伴うため、
事前説明が特に効果的です。
■⑥ 介助をする家族側の負担も想定しておく
要配慮者の避難では、
支援する家族側の体力・メンタルの負担も大きくなります。
準備しておきたいこと:
- 二人以上で避難を支える
- 介助に必要な道具の準備
- 荷物の優先順位を整理
- 無理な徒歩避難を避ける
家族の負担が減ることで、
要配慮者の避難スピードも上がります。
■⑦ 避難所での要配慮者スペースの確保
避難所は環境ストレスが大きいため、
要配慮者にはスペースの確保が重要です。
対策:
- 出入口に近い場所
- トイレへ行きやすい位置
- 仕切りや毛布でプライバシー確保
- 音や光が少ないスペース選び
自治体職員と相談すれば
“福祉避難所” につなげてもらえる場合もあります。
■⑧ まとめ|要配慮者ほど“早い避難”が命を守る
要配慮者は、高潮の急激な浸水に弱い層です。
- 子ども → 不安を減らす
- 高齢者 → 動作が遅い
- 妊婦 → 冷え・ストレスに弱い
- 障がい者 → 個別対応が必要
- 家族の介助 → 事前準備が重要
防災士としての結論:
高潮は逃げ遅れが命に直結する災害。要配慮者のいる家庭こそ、警戒レベル3で確実に避難することが最大の命綱。
家庭の実情に合わせた“個別の避難計画”を
今日から作っておきましょう。

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