【防災士が解説】高潮⑨|子ども・高齢者・妊婦・障がい者など“要配慮者の命を守る高潮対策”

高潮は急激に水位が上がるため、
避難に時間がかかる人ほど大きな危険にさらされます。

防災士として現場を経験してきた立場から、
子ども・高齢者・妊婦・障がい者など
“要配慮者の命を守るための高潮対策” をわかりやすく整理します。


■① 要配慮者ほど“早く避難する”必要がある理由

高潮は避難の遅れが致命的になります。

要配慮者は、

  • 歩行や移動に時間がかかる
  • 環境の変化に弱い
  • 暗い時間の避難が難しい
  • 体調を崩しやすい

こうした特性から、
警戒レベル3(高齢者等避難)で必ず動くべき対象 です。


■② 子どもの安全|不安を減らすと避難がスムーズになる

子どもは急な変化に弱く、
避難時の混乱が行動の遅れにつながります。

必要な工夫:

  • 事前に「避難の流れ」を写真で説明
  • お気に入りのぬいぐるみ・おもちゃ
  • 子ども用の防災リュック
  • 音・暗さへの対策(ライト・耳栓)

親の不安が移りやすいため、
子どもの落ち着きは避難全体を早める効果があります。


■③ 高齢者の安全|早避難が最も効果的な命の守り方

高齢者は高潮時に最も被害を受けやすい層です。

理由:

  • 歩行が遅い
  • 道路の冠水で転倒しやすい
  • 持病が悪化しやすい
  • 夜間の視界に弱い

準備しておくべきもの:

  • 早めの避難(明るいうちに)
  • 常備薬・お薬手帳
  • 眼鏡・補聴器
  • 足元が滑りにくい靴

介助が必要な高齢者は
家族・地域での声かけが命をつなぎます。


■④ 妊婦さんの安全|冷え・ストレスへの対策が必須

妊婦さんは高潮時の避難環境に大きく影響されます。

必要な対策:

  • 母子手帳
  • 産院の緊急連絡先
  • 冷え対策(ブランケット・カイロ)
  • 車で移動できるなら早期に避難

避難所環境によっては
車中避難+安全確保 を選ぶ家庭もあります。


■⑤ 障がいのある家族への個別支援

障がいの種類によって必要な支援が大きく異なります。

●聴覚障がい

  • 光や振動の通知デバイス
  • 筆談道具

●視覚障がい

  • 避難ルートの事前確認
  • 白杖・音声読み上げアプリ

●知的・発達障がい

  • 視覚支援ツール(写真・イラスト)
  • 大きな音・暗さへの対策

●身体障がい

  • 車いすの空気圧確認
  • 移動介助の段取り確認

高潮は暴風・暗闇が伴うため、
事前説明が特に効果的です。


■⑥ 介助をする家族側の負担も想定しておく

要配慮者の避難では、
支援する家族側の体力・メンタルの負担も大きくなります。

準備しておきたいこと:

  • 二人以上で避難を支える
  • 介助に必要な道具の準備
  • 荷物の優先順位を整理
  • 無理な徒歩避難を避ける

家族の負担が減ることで、
要配慮者の避難スピードも上がります。


■⑦ 避難所での要配慮者スペースの確保

避難所は環境ストレスが大きいため、
要配慮者にはスペースの確保が重要です。

対策:

  • 出入口に近い場所
  • トイレへ行きやすい位置
  • 仕切りや毛布でプライバシー確保
  • 音や光が少ないスペース選び

自治体職員と相談すれば
“福祉避難所” につなげてもらえる場合もあります。


■⑧ まとめ|要配慮者ほど“早い避難”が命を守る

要配慮者は、高潮の急激な浸水に弱い層です。

  • 子ども → 不安を減らす
  • 高齢者 → 動作が遅い
  • 妊婦 → 冷え・ストレスに弱い
  • 障がい者 → 個別対応が必要
  • 家族の介助 → 事前準備が重要

防災士としての結論:

高潮は逃げ遅れが命に直結する災害。要配慮者のいる家庭こそ、警戒レベル3で確実に避難することが最大の命綱。

家庭の実情に合わせた“個別の避難計画”を
今日から作っておきましょう。

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